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ジャイ〇ンには逆らえまい
私は彼のことを『キレイなジャイ〇ン』だと思っている。
キレイなのは顔だけで心も言動も全てジャイ〇ンだからだ。
オレのものはオレのもの、オマエのものもオレのもの。
そんなアイツに呼び出されて一体どうやって断れるものなのか。
今までにない命令に私は怯えた。
誰か生命の危機を感じない断り方を教えて下さい。
「今夜19時、校庭で」
え?私校庭に埋められるの?
人生詰んだのか、と思った瞬間だけど一方で考えてたのは。
19時って我が家はご飯食べる時間だしその後お風呂入りたいし、ドラマ見たらさっさと寝たいし。
「時間厳守、遅れたらどうなるかわかってる?」
半分上の空だったのを見抜かれたのだろう。
美しすぎる顔が少し歪んだ笑顔を浮かべて私を見下ろしている。
ヒッと息を飲みこんで私は壊れたししおどしのようにコクコクコクと何度も頷いた。
花見が丘高校の王子様、それが彼の愛称。
私は花見が丘高校のジャイ〇ンだと思ってるけど。
中学校2年の春、彼はこの町に引っ越してきた。
ご両親が離婚してお母さんと二人、実家のあるこの町に来たのだ、と狭い町ではすぐにその噂が流れた。
同じ年齢だと聞き仲良くしなくちゃ、と思った。
だって中学校は1学年2クラスだから同じクラスになる確率は二分の一なのだ。
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