1 恋人の実家へ

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1 恋人の実家へ

 浩史(ひろし)くんに誘われたのは、もうじき寒い季節になるという頃だった。  「俺も、その週末は連休にするから、日曜はゆっくりしようよ」  彼の実家に行こうと誘われた。交際して一年。浩史くんは三十二歳になったから、付き合えば結婚と考えるのは当たり前。  弘至(ひろし)と、そういう話が出たことはない。  若い子がいいなら、四歳違いは対象外だろう。でも、浩史くんは、きちんと将来を考えてくれている。  私も二十八歳だから、付き合った男性と結婚を考える年齢だ。これからも一緒にいたいと思ってくれる浩史くんに、好き、という気持ちがもっと大きくなる。  「行くのは大丈夫だけど、浩史くんは泊まらなくてもいいの?」  私は挨拶をしたら帰ると思うけど、浩史くんも同じで大丈夫か、少し心配だ。  休みが不規則な彼は、お盆に合わせた休暇は全然無理で、今年の夏休みは、かなり早かった。その時はきちんと帰省していたけど、今から四か月近く前。  年末が近いといっても、子供に泊まってほしいのでは、と思った。
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