1 恋人の実家へ

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 「大丈夫。正月は泊まるつもりだし、親もそう思ってるって。  泊まるって言ったら、どうしたの?って言われるよ」  私は、それほど遠くないところに実家があるから、結構帰っている。  男性は違うのかな、と考えた時、弘至も同じだったと思い出した。彼も都内に実家があるのに、ほとんど帰っていなかった。  だから、彼の両親に会ったことはない。  弘至は私との結婚を、やっぱり考えていなかったと気づいた。無駄になった時間を思うとすごく悔しい。  でも、彼と付き合ったから浩史くんと会えたと思うと、弘至との時間も無意味でないような気がした。  「それじゃ、ずっと一緒だね」  恋人の実家と思うと緊張するけど、初めて行く場所だから、どんなところだろうと、ちょっと期待する気持ちもある。  将来、家族になる人に会いに行く。歓迎してもらえるといいなと、私は思った。
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