二番手の恋

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駅前にある交差点を渡らないとバス停に着かない為信号待ちをしていると今度は見覚えのある顔が道路を挟んで見えてきた。 新谷が信号待ちの交差点で足を止めた。 俺は少し大きめに手を振り合図した。 すると新谷はハッとした表情をこちらに見せ俺に気づいた。 信号待ちのじれったさから青になると新谷の元へと走った。 新谷は渡らずに走って来る俺を待っていてくれた。 「また偶然会えたな。その後…どうしてた?」 「あ…うん。なんとか持ち直したよ。あの時は話し聞いてくれてありがとう。」 ザァー…。 「うわっ、また強くなってきたな。屋根の下入るか。」 「え、あ、うん…そうだね。」 あの日俺が新谷を抱きしめた場所へ再び雨宿りに入った。 「今日は?休みなの?」 話し掛けると傘を畳みながら。 「そう。今日はお休みで。」 「そうか…こんな時間に歩いてるからもしかしたらと思って。」 傘を畳み終わったというのに傘の方ばかり見て俺とは目を合わせようとしない新谷。 余所余所しい原因には心当たりがあった。 この場所であの日抱きしめた事をきっと思い出しているんだ。 「城田君はこれからお母さんの家に?」 「今日一緒に飯食う約束してるんだ。」 「そうだったんだね。仲良いんだね相変わらず。」 「まぁ。それなりに。」 次の瞬間。 新谷は重たい口を開いた。
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