二番手の恋

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「今さっき…振られたんです俺。」 「ごめんなさい。実はさっきバス停に向かう途中で二人の前を通り過ぎた時に少し聞こえてしまいました。本当…すみません。」 「えっ、そうだったんですか?!恥ずかしい。」 「悪気は無かったんですけど。」 「あぁ…大丈夫です。こちらこそ何かすみませんでした。」 赤い顔をしながら頭を何度も下げた。 そして雨粒の滴る窓を眺めながら。 「…同じだな貴方と。」 「同じ?」 「俺自身も貴方みたいにある人に執着し過ぎていました。」 「それが振られた事と繋がるんですか?」 「あ…いや…はは。」 彼女はピンと来ない様子だった。 「貴方と話せて自分の中の答えがやっと分かりました。どうもありがとう。」 「何か…変な感じですけど。でも私も自分の話ばかりでその…聞いて頂いてありがとう。」 「あはは。」 「あはは。」 僕達の笑い声は車内に響き渡っていた。 そんな笑い声にハッとした二人はお互い揃って口を押さえる。 「俺、城田亮っていいます。」 今度は小さな声で。 「私は、若月春です。」 彼女も返してくれる。 「来週またこの駅に来るので…会えませんか?」 「はい。よろしくお願いします。」 こんなじとじとした雨の、ついでに振られたばかりのこんな日に俺は爽やかな彼女と出会った──────。                                  完
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