出会った君と僕

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出会った君と僕

二年前のある日、君と僕は出会った。 これは運命でも偶然でもなくて、仕向けられた出会い。 某国の上級階級が集まる社交パーティで、 君は普段着ないであろう高いヒールを履き、赤いドレスを着てフラフラして、不機嫌そうに食べ物を食べていた。 お偉いさん達に声を掛けられると下手な愛想笑い。 君の姿が思わず可笑しくて、予定よりもずっと早く声を掛けてしまったんだ。 「あの、大丈夫ですか…?」 「あ、はい。大丈夫ですよ。私に何御用ですか?」 君はまた下手な愛想笑い。 「いえ、ちょっとフラフラされていたので…」 「あ、なんだ偉い人じゃないのかー良かった」 君は胸をなでおろす。 「失礼。申し遅れました。私はこの辺りで医者をしている者でして、 可愛いお嬢さんがフラフラされていたので少し心配になりまして。」 「で、大丈夫ですか?」 「お医者さんですか…すいません!ただ普段履きなれないヒールを履いてまして…ちょっと足が痛いだけなので大丈夫です!」 「大丈夫じゃないですよ、少し見せて頂いてもよろしいですか?」 「ちょっとこちらへ」 「あ、ちょっと!!」 そう言って私は君の手を少し強引に引っ張り人気の少ない椅子へ連れてきた。 「なんで人が居ないところへ…あなた!変な事考えてるんじゃないでしょうね!」 君は少し僕を睨みつけるように言った 「ち、ちがいますよ!そんなことないですよ!足を出してもらうなら人が少ない所の方が良いと思って‥‥」 僕は思わず動揺してしまった。情けない。 不用意に彼女に近づいてしまった挙句、 変質者扱いされてしまったらもはや計画どころの話ではなくなってしまう。 よく考えてみれば、突然話しかけてきた医者が足を見せてほしいと言われて 人気がいない所に連れてこられたら誰でも怖い。やってしまった… 「ふふっ、お兄さん冗談ですから。そんな顔をしないでください。ふふっ」 君は笑いを堪え震えていた。 「ほっ、そうですか…安心しました…」 冷静に…冷静に…相手にペースを乱されてボロが出てしまうかもしれない。 「ふふっ、お兄さんお顔が綺麗ですけど、慌てる時の顔は面白いですね。ふふっ」 「はぁ…とりあえず、少し足を見させてもらいますね」 「は、はい…」 彼女は恥ずかしそうに痛めた足のヒールを脱ぎ僕の方へ差し出した 「すいません。少し触らせて頂きます」 「んー靴擦れしてますね。あとちょっとした捻挫ですかね、慣れないヒールを履くのはやはり良くないようです」 僕は君にニッコリと笑いかけた後、持っていたカバンの中から消毒液と包帯を出して傷口を消毒し、彼女の足に巻いて固定した。 終始、君は顔を赤らめて恥ずかしそうにしていた顔が可愛くて僕の目に焼き付いていた。 「はい、終わりですよ。」 「ふぅ...ありがとうございます」 「どうですか?とりあえず包帯もスカートに隠れて見えないと思うのでしっかり固定しておきました」 「あー歩きやすい!本当ならヒールを脱ぎたい所ですが我慢します…」 「お兄さん本当にありがとうございます」 君はこの時今日一番の笑顔を見せてくれた。 「い、いえ…医者としてほっとけなかっただけですので…」 そして、僕はこの時少し顔が赤かったかもしれない。 今思えば僕はこの時から君に興味が湧いていた。
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