3■球技大会☆双子スター誕生!? SIDE:希(了)

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 試合時間の15分前。  僕は試合が行われる小体育館に向かった。  嘘のように。だーれもいない。確かに、卓球台が3台並んでるし。間違ってはいない。  よく見ると、反対側のベンチに、ひとり男の子がジャージを着て座っているのが見えた。  あ、きっと対戦相手だ。  そう思って、近付いて行く。 「B組の?」  僕がそう言うと、茶髪で目つきのするどい彼が、しかめっ面で僕を見上げた。 「ああ……うあ、ユニフォームとか着てんの? ありえね。俺くじで負けてしゃーなく出てるだけだし。適当でいいよ」  そう言って彼は俯いてしまった。  ……あの。  2週間練習してた僕って、一体……。  少しすると、がやがやと声が聞こえて、クラスのみんなが到着した。 「のーぞみちゃーん、頑張れー」  観客席から、みんなで僕に向かって叫んでいた。しーんとした体育館に、声が響き渡る。  なんか……照れるな。  バスケを筆頭に、ほとんどの種目でクラスは一回戦敗退。  よっぽど暇だったのか、クラスのほとんどのメンバーが来ていた。  B組の彼にも、友達が来たみたいだけど、少しだけだ。  5分前、会場がざわめいて、珠希と空也先輩が来たのが分かった。  ふたりが僕に向かって手を振るから、相手がすごい顔で僕を見てきた。  相手の宣言通り。  僕は気合いを入れすぎていたらしい。  彼はまったくやる気がないし。  だから、簡単に試合は終わってしまった。  なあんか、気が抜けるな。  そう思って隣の台を見ると、なかなかの真剣勝負が繰り広げられていた。  後で聞くと、3年の先輩たちで、卓球部の人たちらしい。毎年結局は彼らの部内ライバル対決で、どちらかが優勝している。  そう聞いて、彼らと試合がしたくなった。勝てるとか思ってないけど、試合らしい試合がしたい。  すぐにクラスのみんなに囲まれて、髪の毛をわしゃわしゃと撫でられた。 「やるじゃん! うちのスター! 言っとくけど、勝ち残ってんの希だけだから」 「そうそ、だから俺らこれから2日は希応援することだけに駆けるぞー」  そんな、みんなの声が聞こえて、髪の毛がぐちゃぐちゃになったけど、嬉しかった。  気がつくと、珠希と空也先輩はいなくなっていた。 「ノン! おめでとー」  クラスのみんなをかき分けて、アユが抱き着いて来た。  すると、みんなから変なため息が聞こえてきて、僕とアユは顔を見合わせた。  僕らは暇だったから、順平やシュウと一緒に、アユや実の試合を応援に行った。  午後の試合でももちろん、アユは活躍して、F組は圧勝した。  そして僕も午後にもう一試合こなしたけど、やっぱり相手は一試合目と同じようにやる気がなくって。  やっぱりあっけなく終わっちゃった。  でも、明日からは勝ち残った2年生や3年生と試合をするんだから、もうちょっと楽しい試合になるはず。
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