4■球技大会☆双子スター誕生!? SIDE:歩(了)

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 球技大会スタート 「よっし!絶対優勝するぞ!ノン、後でなー」  リンが用意してくれたユニフォームを着て、勢いよく部屋を飛び出した。 いよいよ球技大会一日目。  あの後、朝練をしていたオレと竜の元に、ばらばらとみんなやってきた。 最初はなんだかぎこちなかったけど、オレが「やるからには絶対優勝しような!」ってみんなの顔を順番に見つめたら、急にみんなやる気になった。 なんか青春だよな~。 「今日から球技大会が開催されるわけだが、みんなくれぐれも怪我のないように。全種目総合で一位になったクラスには、例年通り賞品があるので、みんな張り切ってくれ」 空也の挨拶に、わーっとみんなから歓声が上がった。 賞品? なんだろう。 バスケの今日のスケジュールはうちのクラスは午前に一試合、勝てば午後に一試合で学年のトップが決まる。 トーナメントはA~F組で勝ち進み、オレらFは二試合勝てば学年トップに輝くことになっている。 そして明日は準決勝、明後日最終日に決勝戦が行われる。 はっきり言って、チームのコンディションは上々。 練習を重ねるごとに増してきた連帯感でチームワークもすんばらしいのだ。 負ける気はしねーぜ。 「あゆーやっぱり似合う!そのユニフォーム」 リンがきゃっきゃと騒いでデジカメで写真を撮りまくる。 今日は午前と午後に一試合ずつなんだけど、ノンの試合見に行けるかなー。 「あれ?珠希ー」 体育館に向かう途中、珠希が前を歩いているのを見つけて駆け寄った。 「あ。歩くん」 「うっす。ねー珠希何でるんだっけ?」 「僕は色々やらなきゃいけないことがあるからでないんだ」 珠希がいつもより元気なさそうに見える。 きっと、忙しくて競技に出られないことが悔しいんだ。 「そっか。大変だね」 「はは。そんな顔しないで僕はみんなの試合見てる方が楽しいから」  そう言って、頭を撫でるのかと思ったけど、何故か珠希は手をひっこめた。 「ね、じゃあオレ絶対勝つからさ!珠希の分も!」  わけわかんないけど、そんなことしか言えなかった。 「ありがとう」  にこっと笑った珠希の顔は、やっぱりどこか力なく思えた。 「これから空也の試合見に行くんだけど、歩くんも一緒に行く?」 「おう、敵視察!」 ノンも見にくるかと思ってメールしたけど、ウォーミングアップしたいからごめんね、とメールが返ってきた。 空也はやっぱりすごかった。 全てのシュートがまるで吸い込まれるようにゴールに入っていった。 悔しいけど。 「空也はなんだってできるんだよ」 珠希が眩しそうに空也を見つめて言った。 オレは、なんとなく、いつも空也や珠希がするように、珠希の頭を撫でてみた。 そしたらくすっと珠希がオレをみて笑った。 なんだか、心の中がもやもやする。 「じゃ、オレ行ってくる」 珠希にそういって、コートの外にいるクラスメートのところに駆け寄った。 みんなで円陣を組んで、気合を入れる。 「絶対優勝するからな!」 その言葉に、みんなキラキラと目を合わせて笑いあった。 第一クウォーターで余裕のリード。 インターバルにちらっと観客席を見たら、ノンと空也と珠希が見ていた。 ノンが手を振ったので、オレも手を振ってにっと笑った。 チームのボルテージはあがりっぱなし。 結局第一試合はオレらの圧勝。 「やるねー」 汗を拭きながらノンの元へ行くと、空也がにっと笑って言った。 「まだまだ序の口」 「だな。オレの方がリードしてるもんな」 「次は絶対オレの方が点取ってやる!」 「あ、僕もそろそろ行かなきゃ」 この状況だと仕方ないけど、結局ノンの試合を珠希と空也と一緒に見ることになった。 ノンはやっぱりあっさりと勝利。 さすが。 安心してオレはみんなの所へ戻った。 「あゆ!危ない!!」 リンの声がして、後ろで何かが壊れる音がした。 振り向くと、植木鉢が落ちていた。 「おお、あっぶねー。気をつけろってのー」 そう言った瞬間、次は何か飛んできたので、反射的に避けた。 「誰だー。ホームランでも打ったのか?」 「え?あゆ、それって違うと思う…」 「何が?」 実が心配そうな顔をするので、オレはなんでなのかわからなくて、首をかしげた。 「明らかに狙われてない?  他に何かあった?」 「えー?あったかなぁ。そういえばやたら周りが騒がしい気もするけど、気のせいだろ?」 あり得ない、ドラマじゃあるまいし、と思って、実の肩をぽんぽん叩いて笑った。
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