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その後、オレらのクラスと、空也のクラスのバスケの決勝戦が行われた。
空也は目の前で見ても、すごい迫力だった。
ただ、所々、おかしな感じがしたけど、結局接戦の末、空也のダンクでオレらは負けた。
最後まで派手に決めちゃうなんて、ほんと憎らしいよな。
「ごめん、みんな、心配させて…」
オレは、あらためてクラスのみんなに頭をさげた。
「ほんとだよ、めっちゃ心配したんだからな、1-Fのスターさん」
「ああ、まじですごかったよ、オレらなめてた」
「つーわけで、学級委員として今後も頑張ってくれよな!」
みんなが口々に言って、オレの頭をぐしゃぐしゃにした。
「あはは。めんどくせーこと押し付けやがって。よし!やるからには、みんな気合いいれてもらうからな!どんなイベントも全力投球だ!」
わーっとみんなで騒いで、オレはなんかすごい幸せな気分になった。
やっぱみんな仲良くないとな。
にっと笑って、ノンの所へ駆けて行った。
ノンの隣では珠希がにこにこと微笑んでいて、その隣には、空也が立っていた。
「おめでと!空也」
「ああ、ありがと」
空也が優しく笑って、オレの頭を撫でた。
ひさしぶり。コレ。
「まぁ、当然オレの勝ちだったわけだけどな」
「ほんっと、にくたらしーよな、でもいいんだ。オレらみんな頑張ったし」
うん。楽しかったし。
クラスが仲良くなれたから。
「世の中にはさ、ノンちゃん、努力しない人間もいるんだよ」
珠希がくすくすと笑って、ノンに話し掛けた。
「え?」
ノンが不思議そうに珠希に聞き返した。
「一度見たものは覚えてしまう、運動だってなんでもできてしまう」
そう言って、空也に笑顔を向けた。
「ああ、そうだな」
空也が、勝ち誇った顔で、珠希を見た。
「僕、久しぶりに空也が本気になった顔みたよ。手怪我してまで扉壊した時はびっくりした」
「うるせーな!」
珠希の言葉に、空也が照れたように、顔をしかめてその場を離れようとした。
「え?何?空也怪我してんのかよ」
スタスタと歩き出す空也の後ろを追い掛けた。
「今日はみんなで夕食食べようね」
後ろでノンの声がしたので、振り返って手を挙げて空也を追い掛けた。
「なあ、空也!手当てしよ
うよ!」
空也が突然ぴたりと止まって、振り返った。
「な、なに?」
そのまま、オレをぎゅうっと抱き締めた。
「まじで心配したんだからもう、どうにかなりそうだった…」
「…空也」
そっか、そんなにオレと試合したかったのか。
「ありがとう、空也。そうだよな、オレ、今度は絶対勝つからな」
「へ?」
努力をしない人間の空也が、オレのことはじめてライバルって認めてくれたんだ。
「な?張り合いができてたのしいだろ?」
「…お前は…どういう思考
回路してんだ…」
「え?」
ふぅっとため息をつく空也の顔を見つめた。
「なんでもないよ、約束、忘れてないよな?」
「ああ、なんでも言うこと
聞くよ」
あー、これでお菓子は消えたわけか…。
「じゃあ、夕食の後オレの部屋に来いよ」
「う、うん」
空也がにやりと笑ったので、なんだか不安になってきた。
何やらされるんだろう。
やっぱ疲れたから全身マッサージとか?
うあーオレも疲れたよー。
でも負けたしな…。
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