4■球技大会☆双子スター誕生!? SIDE:歩(了)

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「へー、空也の視界ってこんくらいなんだ」  空也におんぶされて、オレは部屋まで運んでもらった。 「あれ?部屋、行かなくていいの?」 「いいよ。疲れただろ?」 「うん…でもオレ負けたんだしさ」  そう言うと、空也がオレの頭に手を伸ばし、しゃがんでオレのおでこにコツンとおでこを引っ付けた。 「許してくれるなら何もいらない」 「何それー。じゃあオレ、なんで負けたの!」 「今日はゆっくり寝な」  空也がくすっと笑って、オレを置いて部屋に戻って行った。  部屋に入ると、ノンがいなかった。  あ、オレ、今日空也のとこ行くっていったから、珠希のとこに言ったのかな。  ここにきて、初めての1人の夜。  風呂にゆっくり入って、寝ようとしたけど、落ち着かなかった。  そういえばベッドがでかいからずっとノンのところで寝てたしな。  ベッドの端から端をごろごろと行ったり来たりしたけど、眠れそうになかった。  体は疲れてるのに。  そうだ、空也。 「もしもし、空也。部屋行っていい?オレ1人なんだよ」 『なんだよ、さみしいの?ガキだな。1人で寝な』  …つ、冷たい。  さみしい、なんて言えるかっつーの。  外は、雨が降り出したみたいで、雨音が1人っきりの部屋にやけに響いた。  オレ、駄目なんだよ、こういうの…。  ベッドの中に潜り込んでいると、突然部屋のチャイムがなり、オレはびくっと飛び跳ねた。  ノンかな。  布団をかぶったまま、ドアをあけると、でかい影が現れた。 「ギァ…」  叫ぼうとした瞬間、その影に口を押さえられて、オレはパニックになった。 「しっ。こんな夜中に大声出すなよ」  その声で誰だかわかって、オレは落ち着いて、息をついた。 「なに?」 「ごめん、意地悪言って。おいで、オレの部屋に」 「それ、飲んだら寝ろよ」  空也の部屋に行って、空也がいれてくれたホットミルクを飲んだ。 「空也は寝ないの?」 「オレは色々と仕事があんの。だからオレのベッドで寝てろ」 「…うん」  あ、やっぱ迷惑だったかな。  大人しく言うこと聞こう。  オレはすごすごと、空也の寝室へ入ってベッドに潜り込んだ。  こんなでかいベッドに1人なんて、さっきと状況かわらないかと思ったけど、空也の顔見て安心したせいか、うとうとといつのまにか眠りについた。  夜中にトイレに行きたくなってリビングへ行くと、空也はソファで眠っていた。  疲れてたんだと思って、なんか寂しくて、オレはそのまま空也の横に丸くなって再び眠りについた。  朝目が覚めたらいつのまにか空也のベッドにいて、隣で空也が眠っていたので、安心して空也に抱き着いて、また眠った。
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