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おまけ☆SIDE:空也
いい先輩面なんていつまでももたねーよ。
そう思って歩を部屋に返したのに、コイツはオレの気も知らず、幸せそうな寝顔を曝してオレの隣で寝息をたてていた。
なんでわざわざベッドに寝かせてオレはソファで寝たのに、目が覚めたら隣にいるんだ。
だいたいのことは予想がつく。なのに歩は全くオレの予想しないことばかりする。
普通『食べてください』なんて書いてあったら怪しくて絶対食べないだろうものを、食べるなんて…。
強がってる姿を見ると放っておけない。
気持ち良さそうに眠る歩の頬をぷにっと突いてベッドに運んだ。
「てっきり賭けに勝ったから歩くんに色々やっちゃうのかと思ってた」
朝、教室で珠希が言った。
「無理矢理するもんでもないだろ」
「あ、嫌われたくないんだ。珍しいね」
今までのオレの素行を知る珠希はこの状況を楽しんでいた。
「ムカつくな。自分は希をモノにできたからって」
「空也が振り回されてるところなんて滅多に見れるものじゃないからね」
オレはそんな自分に戸惑いつつも、楽しんでいることに気付いた。
4(了)
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