5■萌える緑☆恋する季節? SIDE:希(了)

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 ばたん、っとドアが鳴って僕は目を覚ました。ソファに座ってテレビを見ながらいつのまにか眠っていたみたい。  入り口の方から、小さな声で話す声とか、くすくす笑いが聞こえてくる。  アユ?  まだ眠い目をこすりながら、不思議に思っていると、リビングにアユが現れた。 「おかえり。アユ、誰かと一緒だった?」  僕がそう言うと、アユは目を泳がせて、どうしてか真っ赤になった。 「あ、うん。空也んとこ行ってた」 「そか。なんか、いつの間にか寝てた」 「なあノン。俺、いろいろ考えてて……んで。なんノンの言うことちゃんと聞いてなかった。で、あのさ……とにかく、おめでと! よかったな!」  アユは突然つかつかと僕のとこまで歩いてくると、部屋に響き渡る声でそう言った。 「え?」 「だからっ、珠希とのこと。ほら、球技大会とかで忙しかったし、俺あんま話ちゃんと聞いてなくて。だから、ごめんっ」  アユはそう言って謝ったけど、僕はもうそれで十分だった。アユがおめでとうって言ってくれただけで。 「アユ……」 「なーにーぃ希、なんて顔してんの?」  アユはそう言って笑う。 「でも、だって。なんか、僕。不安だったんだもん。珠希とのことやっぱりほんとはアユ嫌なのかな、とか。いろいろ考えてて」  なんか、泣きそう。 「ノンー。もう、ほんっとかわいいんだから。俺が、ノンのこと嫌とか思う訳ないじゃん。な?」  アユは僕の肩に腕を回しながらそう言って笑う。  それは、そう分かってたけど。 「だって、アユずっと変だったもん。僕の顔見てくれないし、珠希のことも……」 「それは、ああ、それは、まあいろいろあって。な? とにかく俺すっげえ嬉しいから。ノンに好きな奴ができて。んで、今幸せなんだろ?」 「うん」 「それで十分だよ。な?」  アユはそう言って笑う。  なんか、太陽みたいに笑うアユの顔。久しぶりに見た気がする。 「変だって、思ってない?」 「思うかよ。大好きだぞ。ノンのことも、珠希のことも。あ、もしノンのこと泣かせたりしたら、珠希のことは嫌いになるかもだけど?」  そう言って笑う。なんだか、伯父さんのことをちょっと思い出した。 「アユーーー、僕もアユのこと大好き!」  そう言って僕は鼻水をずびずび言わせながらアユに抱き着いた。
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