6■萌える緑☆恋する季節? SIDE:歩(了)

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6■萌える緑☆恋する季節? SIDE:歩(了)

 今日は球技大会明けで代休だったので、空也のベッドで気持ち良く、寝坊した。  鼻先を甘い匂いが掠め、空腹で目が覚めた。  テーブルはキラキラしたチェリーのタルトが独占していた。 「う、うまそー」 「おはよう、コーヒー?紅茶?」 「おはよ!紅茶~」 「オレンジペコーか?」 「うん、それ!ね、これ食べていい?」 「だーめ。歩は昨日お菓子で痛い思いしたばかりだろ。懲りてないな」 「それとこれとは別~。あ、空也これ好きなの?」 「いや、オレはあまり甘いものは食べない」 「え?なんで空也んとこにはいつもお菓子あんの」 「小猿が釣れるから」 「きぃー、誰が小猿じゃ! 」 「冗談、それ、食べていいよ。歩の為に用意したから」 「まじで!? 空也だいすき」  そういや、空也と久しぶりにこうやってふざけあってるなぁ。  なんだか楽しくかった。 「そういや、結局勝ったのって空也と珠希んとこのクラスだろ? 何もらえんの? 」 「賞金とちょっとした特典がな。歩んとこも特別賞で食券50枚もらえるぜ」 「まじで!? それ、竜にも教えてやろっと」  昼頃、ノンもう帰ってるかな、と思って、部屋に戻ってみた。 「ちぇー、まだ帰ってないじゃん。あ!竜んとこ行ってみよ。リンと同室だっけ? 」  全生徒が暮らしているこの寮は、学年ごとに階が違うだけで、敷地はかなり広い。  聞いてた竜の部屋は案外近かった。  鼻歌を歌いながら上機嫌で竜の部屋の前に行って、部屋をノックしてみたけど、返事がなかった。  少し待ってみたけど出てこなかったので、ドアノブをまわしてみると、カチャっと音を立てて部屋が開いた。  「りゅ…」  次の瞬間、信じられない光景を目にして、固まった。  二人は夢中で、ドアが開いたことには気づいてなかった。  ドアの隙間から、目にしたものは、裸の二人。  喘ぐ声に、乱れる呼吸。  そしてオレは、竜とリンの下半身に釘付けになった。  ……。  ………!  わけもわからず、ドアをそっと閉めて、慌ててその場から離れようとすると、足がもつれてふかふかの絨毯にしりもちをついた。    はやく、ここから離れなきゃ…  焦る気持ちに体がついていかず、オレは四つんばいのまま、数メートルを疾走した。  なんとか、部屋に戻るとノンが戻っていた。 「あ、あゆお帰り。どうしたの?すごい汗だよ」  オレの顔を見たノンが心配そうに顔を覗き込んだけど、言っちゃまずいよな、と瞬時に思ったオレはなんとか誤魔化すことにした。 「あ、走ってたんだ」 「そうなんだ。球技大会終わったとこなのに、あゆってえらいね。あのね…あゆ、話があるんだ…」 「え?何?」  しゃべっていてもオレの頭の中からまださっきの竜とリンが離れなかった。 「あのさ、僕、…珠希と付き合うことになったんだ…あゆにはちゃんと言わなきゃって思って…」 「へ、へぇ。おお、すげーな。あはは」  さっきから鳴り止まない頭の中の効果音に、目にした場面のスライドショー。  ノンの言葉も半分に、何故か笑いながら部屋に戻った。  …はぁ。  …ん?  ノンと珠希が付き合う…?  付き合う!? 付き合うってーと、やっぱさっきみたいな…!?  ノンと珠希が!?  ああああああ!  うううううう?  えええええ!?  あ、いや、落ち着かなきゃ。でも…付き合うってーのは、オレは中学の時付き合ってたっぽい子とは、キスまでしかしなかったしな。  キスって言っても、空也としたみたいなんじゃなくて、軽く唇が触れる…!?  空也!?  え? 空也とオレが?  いや、無理、そんなのケツにはいらねーよ…って、なんで空也とオレ!?  ノンと珠希は… 「あああ!○□×※…!!」 「あゆ!大丈夫!? 」 「ぎゃあ! ノン! 」  突然話し掛けられたオレは、ノンの顔をみてあらぬ想像に叫んでしまった。それにノンも驚いて飛び上がった。 「あ、いや、なんでもない。あはははは」  あはは…どうしよう。
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