6■萌える緑☆恋する季節? SIDE:歩(了)

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「希、歩くん」  いつの間にか日課となった、空也と珠希とのごはん。  食堂のVIPルームに行くと、珠希がオレ達を呼んだ。  …のぞみ!?  呼び捨てで呼ぶ程の仲になったの!?  オレはどきどきして、珠希の顔がまともに見れなかった。 「どうしたんだ?歩、顔が真っ赤だぞ」  まっ先にオレの異変に気がついた空也が、オレの顔を覗き込みながら椅子をひいてくれた。 「ぴぎゃっ! 」  何故か、オレは空也と目が合って奇声を発し、飛び跳ねてしまった。 「…あゆ…」  ノンが心配そうに、オレを見つめた、けど、多分、オレはノンをまともに見れなかったので、雰囲気で。  だめ、うまく息ができない。 「…はぁ」 「なんか、歩、妙に色っぽいんだけど。やたらフェロモンふりまくなよ」  何をどう見たら色っぽく見えるのか想像つかないけど、空也がそう言うと、オレの頭にぽんと手をおいた。  ビクゥッ  な、なんだか、おかしい。  変な想像したからだ。なんで空也とオレがセックスするんだよ。  やってたのは、竜とリンで…  墓穴掘った…。  忘れようと頑張ってたのに、一気に昼間の目撃現場が頭の中で再びスライドショーを始めた。  心臓がバクバクいってる。 「はにゃぁ~…」  もうお手上げ、とばかりにオレは机に顔をのせた。  すると、ガタリと椅子が動いたかと思うと、空也が部屋を出て行った。  あれ?オレ、何か、怒らせた?  きもちわりいよなぁ、こんな変なオレ。 「あ…空也先輩…」 「ぷっ…大丈夫だよ。歩くん、ほら、大丈夫?お水飲む?」  珠希がオレの頭を撫でて、水を差し出してくれ、一瞬目があった。 「あ、ああああ、うん、だいじょおぶ…」  珠希の顔を見て、明らかに同様してしまい、ノンが困った顔をした。  ああ、なんか、変な誤解されたらどうしよう。  珠希のことが嫌いとかじゃないんだって…。  でも、ノンも珠希もまともに見れない! 「ごめん、オレ、先部屋戻るから! 」  部屋を飛び出す時に、ちょうど部屋に戻ってきた空也とすれ違った。  空也が心配そうに声をかけようとしたけど、気がつかないふりをして通り過ぎた。  早く、酸素をぉぉぉ。  本日二回目の、廊下大疾走。  ふと、廊下ですれ違う奴らを見ていると、今まで気がつかなかったけど、やたら仲がよさそうにいちゃついてる二人組が何組もいた。  えええ!? やっぱ、男子校ってそういうの普通なの?  って、みんな、ケツにそんな…っ、いたーい!  もう、混乱し過ぎて何がなんだか分からない状態で、涙目になりながら部屋に戻った。  うぅ…。ありえない。  別に、男でも女でも、好きならいいとは思うけど、いきなりアレは強烈だった。  ずずっと鼻をすすっていると、ノンが心配だったのか、オレの後を追ってきたらしく、部屋に戻ってきた。 「あゆ…大丈夫?」 「…へ、へいき」  ああ、駄目だ、うまく顔が見てない。 「あゆ、もしかして…珠希のこと、やっぱり…」 「違うよ!」  ああ!違うよ、ノン。嫌いとか、そんなんじゃないんだって。 「ごめん…僕、無神経だよね…」 「ええ?ちがっ…」  ノンが涙目になって、苦しそうに言った。 「そんな、あゆのことも考えずに…だけど…まさかあゆが珠希のことを… 好きだなんて! 」 「嫌いじゃない! 」 『へ?』  お互い、目をぱちくりとして、顔を見合わせた。 「あゆ? 今なんて? 」 「え? オレ、珠希のこと嫌ってないよ」 「え?え?」  ノンがわけがわからない、といった顔でオロオロした。 「だって、ノンがオレが珠希のこと嫌ってるんじゃないかって勘違いしてたら悪いと思って…」 「え? 嫌ってない? 好きじゃないの? 」 「へ? 好き? そりゃ、友達としては好きだけど…。珠希のこと好きなのはノンだろ」  自分でそう言って、再び顔が熱くなった。  珠希とノン… 「とりあえずさ、誤解だから。友達としてしか見てないから。珠希も、空也も」  ガタッ  その時、扉の向こうで物音がした。 「あ、後でお腹すくかもしれないと思ったから、ご飯持ってきたんだけど…」  珠希がドアを開けて苦笑いした。  隣で無言の空也がスタスタとテーブルの方に歩いて行き、ドン、っと料理を置いた。 「あ、んん。ありがと」  なんか、少し落ち着いたかも。
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