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「はい、ここが風紀室ね。ここまで一本道のはずなんだけど、無駄に扉が多いから迷っちゃうよね〜。僕も初めは戸惑ったし」
「そ、そうなんですね…」
確かにここに来るまでにやたら扉があったなと頭に思い浮かべる。
この学校自体すごく大きいし広いけど、ここまで来ると本当に僕みたいな人間がいていいのかと不安になってしまう。
「あ、そうそう。あの無駄に多い扉は説明受けるまで開けない方が身のためだよ。説明されても行かない方がいいと思うけど。さっ行こうか」
「え?それってどういう…あっ」
ふと思い出したようにこちらを見て言われたが聞き返す前に風紀室の扉を開けられ中へと促された。
………いや、まあ、今回がアレだっただけで僕は知った場所しか行きませんけどね…。あの温室にももう行きたくない…うさぎには会いたいけど。
失礼します…と恐る恐る踏み入れると奥の方の席に座っていた男の人が訝しげにこちらを見ていた。
…うっ怖い…!
「あ、あああの!か、か、会長から書類を…!こここれです!」
「…あぁ、補佐の…。ところで、君はどんな手を使って補佐になったんだ?どこであいつと出会って、そんな話に?新入生なんだよな?」
「へ…あの…えっと……」
「なんだ、答えられない事をしたのか?……頼むから、風紀に迷惑はかけないでくれよ」
はぁ…と溜息を吐かれて僕はビクッと体が跳ねた。
なんでこんなに当たりが強いんだと思ったけど、そりゃそうだ。突然新入生が補佐になるなんておかしい事だし。
……でも、でもさ!!!これだけは言わせて貰いたいんだけどさ!!!
「委員長…この子は…」
「お、おおお言葉ですが!!!や、やや…やれって言われたら僕は最後まで責任を持って、やります!!たた確かにっ…何もわからない事だらけですけどっ…まだまだ迷惑かけちゃうと思います…!…さっきも副委員長さんにご迷惑を……ででも!出来るだけ、出来るだけ全部自分で解決するのでっ…よ、よろしくお願いします!」
副委員長さんが委員長さん?に口を出そうとしたのを遮ってぎゅっと目を瞑って頭を下げる。
何にもわからないし、なんで補佐になったのか僕が一番わかってないし!
でもやれって言われたら途中で責任を投げるわけにはいかない!
そんなの男じゃないっ。
しかし待てども返事がない。
チラ…と頭を少し上げて委員長さんを見上げたらポカンと口を開けていた。
……もしかして、こいつやばいと思われたんでは…?
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