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しばらくうさぎと戯れていたがそういえば僕仕事の途中だったと思い出してうさぎを抱っこしたまままた歩き始めた。
本当は置いていくつもりだったんだけど、下に降ろすと何度も何度もまた僕の膝に乗ってくるから一緒に出口を探してもらう事にした。
ふわふわの毛並みだし、野良じゃないと思うんだけどなぁ。
「君はどこから来たの?出口の場所知ってたりするかなぁ……なんて、君に聞いても分かんないよねー…」
「…君、誰?」
「ひぃっ!!…あ、ぁ…え、と…あの…」
「…ここにどうやって入ったの」
きょろきょろと辺りを見回しながら歩いていると突然人の声が聞こえてきて、腰を抜かしてしまった。
びびりにも程がある…。
うさぎをぎゅっと抱きしめてギギギとブリキのおもちゃのように振り向けば冷たい目をした男の人がいた。
どうやって入ったって聞かれても扉開けたらここだったし、なんでこの人こんなに怒ってるの…!?
全てが怖くて引きつった声しか出ない。
そんな僕にしびれを切らしたのか相手は更に僕に詰め寄ってくる。
「ねぇ、どうやって入ってきたのかって聞いてるんだけど?」
「…ぁ……ごめ、ごめんなさい…ひ、ぃや…ちか、ちか…ぃ…」
「はぁ!?ちょ、なに…」
僕の事情なんて知らない相手はどんどん近づいてきて僕は泣きながら謝り、そしてそのまま気を失った。
気を失う寸前とても戸惑ったような声が聞こえてきたけど僕にはもうどうしようもなかったんです…許して…。
僕この学園に入って全然時間経ってないのに気を失いすぎじゃ…?
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