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ふ、と意識が浮上してゆっくりと目を開けた時すぐ傍から「目が覚めたか」と声が聞こえた。
その声は門で話しかけてきた声とそっくりで僕は未だぼんやりとする頭をそのままに男をじっと見つめる。
…僕を運んでくれた、のかな。
それより、今何時…それに、ここは…。
そんな僕の疑問に答えるかのように男は「今は昼の3時でここは保健室だ。体調はどうだ。水飲むか」と甲斐甲斐しくお世話をしてくれた。
やっと冴えてきた思考に僕はとんでもない事をしてしまったと焦り始めた。
にゅ、入学式をサボってしまった…!!
頭をかかえる僕に何を思ったのか男は「そんな落ち込むなよ」と頭を撫でてきた。
瞬間、たつ鳥肌。
ぶわわっと広がるそれに驚いたように目を見開く男。
「ご、ごめんなさ……ぼ、僕…だ、だ、だだ男性が…にが、てで…」
「…は?…お前、それならなんでこんな学校に…男しか居ねぇだろ…」
「ごごごごもっともなん、ですけど…こ、克服っ…し、たくて…!」
「克服ねぇ…」
バッと腕を隠すように組み俯きながら謝れば男からはありえない…という空気が流れた。
僕には一生普通に過ごすのは無理なのかな…泣きそうだ。
そして男は言う。
「ま、とりあえずさ。お前俺の補佐になったから、それで慣れろよ」
はい?
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