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そして放課後、僕は自分の目の前に立っている男をびくびくと半泣きで見上げていた。
「なぁに逃げようとしてんだ?おら、さっさと行くぞ」
「い、い、」
目の前にいる男―――生徒会長。
HRも終わりすぐに帰ろうとした僕の教室にやってきて「生徒会室に行くぞ」と言ってきたのだ。
嫌です!!そう言おうとした僕の耳元で悪魔は囁いた。
「――嫌、なんて勿論…言わねぇよなァ?」
漏らすかと思った。正直。
目に溜まった涙が溢れる事はなかったけど僕は壊れた人形のように何度も頷いて、生徒会長に連行されたのだった。
……もう一生僕の平穏な生活はこないんだ…。
握られた手を見つめながら僕はそう悟った。
いや、悟らざるを得なかったといった方が正しいのでは?
なんでこんな事に…。
こんな所、来なければ良かった…。
っていうか、そろそろ手を離してくれないと僕の鳥肌が治らないのですが。
外そうと手を振ってみても益々力は強まるばかりで僕はもうすぐ意識が遠のいていくんだろうなと、漠然と思った。
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