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一章 それは、弾む音と一緒に①
それは中学一年のことだ。
小学校まででは、運動がそこそこできて、目立たなくとも、なんでもできる。そんなふうに思っていた。
そんな、ちっぽけな自信もあっという間に砕かれて、皆より劣っていると認めたくなくて、でも努力すればするほど、認めてしまいそうになって、何か居場所を求めていた頃の私だった。
私は、中学で、バスケットボールを始めた。
来る日も、来る日も、たくさん走って。
走って。走って。ミスをして。
走って。ミスをして。
ずっとこの繰り返しだった。
何かミスをすればするほど、走る数を増やされて皆に迷惑をかけ、でも皆、皮肉なまでに直接文句のひとつも言わずに、練習をこなしていく。
皆が口々に言う、練習疲れた、の一言で、どこか文句を言われている気になっていた。
ごめんなさい、私が下手なばっかりに
そう言ってしまえば、どれだけ楽なんだろうか。お前のせいだ。そう言ってくれれば、どれだけ楽になれたのだろうか。
練習終わりにも関わらず、ふざけあったり、はしゃいでいる友人たちを見ながら、笑っていることしかできなくて。
いくらからかわれても、笑って済ますことしかできなくて。早くクタクタの体を休ませたい、でもそれは、私が言えたもんじゃなくて。
入学からもう、3ヶ月もたっているのに、全く上手くなる気がしなくて。むしろ、どんどん臆病なっている気がしてて。小学校の頃の方が、もっと動けたような気がすらしてて。
当然、練習試合にも出ることはできなくて、先輩の応援ばかりしていた。こんなこと、なんのためになるんだろうって本当に思っていた。
無駄な時間、そうとしか思えなかった。
私は、中学校の9分の1が過ぎたことを、今更ながらに気づいた。
ああ、明日から、夏休みが始まる。
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