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一章 それは、弾む音と一緒に②
夏合宿があると、入部前に聞いたときは、ワクワクしたものだった。いったいどんなことをして、どんなことが起こるんだろう、なんて。
今は、ただその日が来るのが嫌だった。合宿が始まるまで、時間がぐにーって伸びて、一生こないでほしいとさえ考えていた。
ただ疲れて、痛くて苦しくて、辛い思いをして。
無駄に思える時間。
でも、それに立ち向かうことが、私にはできなくて。
辞める勇気もなくて、楽しくなるまで努力するほど体力も根性もなくて。
うっすらとわかっていた。
周りの子に比べて、私は小さくてひ弱で内気で。
運動神経は良いほうだと思っていたのに、中学に入れば全然そんなことはなくて。
勉強も普通で、自分は普通で。
何か特別なところがあると思いたくて。そんなところないなんて、認めたくなくて。
そう、もやもやとしているうちに、
合宿の日が来たんだ。
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