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序章 写真
一枚の写真を机の引き出しから取り出す。
あの懐かしい日々。
何でも煌めいてみえて、
たくさん心が揺り動かされたあの時。
ひ弱で内気な自分を変えたくて頑張った、
あの大事な大事な一週間。
今でも目を閉じれば、いつでも戻れるような気だってする。
色褪せず、まぶたの裏側に、しっかりと焼き付いている。
あなたと過ごした一瞬が、ここにつまっている。
ねえ、私は叶えたよ。
そう宙に呟く。
言葉は、春の風に吹かれて、うっすらと消えていった。
写真と、この思いを、
飛ばされないように
しっかりとしまいこんで。
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