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流れる雨の詩
それはこんな陽気の事だった
空気に熱がこもり息を吸い込むと
少しむせてしまう
膨らんだ雲があちらこちらに広がっていて
たまに雲が傘になる日陰は
暑い日の冷蔵庫を開けた感覚で
スッと 身体を冷やしていく
そんな空気の移り変わりを感じながら
今日も僕は グラウンドに1人‥
夏の雲を待つ‥
もうすぐ もうすぐだ
あと少しで 君に会える
先ほどの空気とは明らかに違う
吸い込むのは 涼しく清い風
膨らむ雲が青を埋めていく
季節がその瞬間その刹那変わったように
錯覚してしまうかのように
君が来た。
埋め尽くされた空から
なげやりで切なく冷たい雨が降る
「ザザッ ザザザー」
空気は更に季節を加速させる
木々に流れ葉を伝い
たまった水瓶に 音を鳴らす
「ポタ。 ポタポタ」
僕は濡れた身体のまま空を見上げ
眼を閉じ君に会いに行く
流れた雨を身体に感じ
君を受け止め 空に囁く
もう泣かないで
もう1人じゃないよ
沢山話そう 沢山笑おう
囁いていたのは ほんの少しの時間
埋め尽くされた空は
いつの間にか蒼が支配していた
涙を拭えたかは分からないけれど
君に会えた‥ そんな気がして
僕はその場で少し はにかむんだ
濡れた髪を伝い 雫が地に降りる
「ポタ。 ポタポタ」
君と話せた‥
僕はその場で感泣し
君に涙を救われたのだとグラウンドで1人
君を想うんだ‥
siro.
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