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エンド
【トゥルーエンド】
急にアナウンスが流れる。
”本日は当車両をご利用いただき、誠に有難うございました。間もなく終点へ到着いたしますが、予定しておりました駅へ着けなくなってしまった為に終点を変更させていただきます。
電車が大変揺れますので、座席に座ってお待ちください。尚、この電車は終点をもちまして回送電車となります。
間もなく終点此岸、此岸でございます。”
キイキイと音を立てながら電車は駅に停まり、ホームに面した扉が開きます。
出ようとするとアナウンスではなく直ぐ後ろで
”今日の遊びは楽しかったよ、またね”
と声がする。
振り返るとそこに電車はなく、あなたは自宅の最寄り駅にいることでしょう。
【バッドエンド】
急にアナウンスが流れる。
”本日は当車両をご利用いただき、誠に有難うございました。間もなく終点へ到着いたします。
電車が大変揺れますので、座席に座ってお待ちください。尚、この電車は終点をもちまして回送電車となります。
間もなく終点彼岸、彼岸でございます。”
キイキイと音を立てながら電車は駅に停まり、ホームに面した扉が開きます。
出ようとすると背後から何かに肩を捕まれます。
振り向くと、斧を持ったブリキの木こり、大口を開けてニヤついているライオン、剥製の鴉を従えた案山子がたっていました。
”君だけここから出ていくの?僕たちは何も貰ってないよ。狡いよ狡いよ。”
と頭の中に甲高い声が響きます。
肩をつかんでいる木こりの力が段々と強くなっていき、続けて
”貰えないなら君から貰えばいいんだ!”
と聞こえたかと思うと
木こりは斧を掲げ、力強く何度も何度もあなたの心臓めがけて振り下ろしました。案山子は鴉であなたの頭を啄き、ライオンは流れ出た血をペチャペチャと舐めとります。
ぼんやりと死へ向かっていくあなたは、あぁ、あの父子はこうなったのだなと思う事でしょう。
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