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あの後長い入学式が終わり、教室で、担任の庇護先生の話を聞く。
廊下には上級生がこちらを覗いている。
この学校は、学年ごとに階が別れてるんじゃなく、
クラスごとに別れてるみたいだ。
だから、同じ階には、2年1組と3年1組の先輩たちの教室がある。
廊下側の子は先輩達に覗かれて落ち着かないだろうなぁ。
廊下をちらっと見るとさっきの春田先輩と夏井先輩が手を振ってきた。(手を振ってきたのは夏井先輩だけだけど)
「とゆうことで、君達はもう義務教育の中学生じゃないんだから、高校生としての自覚を持って行動するように。中学と違って退学だって普通にあるからな。以上、あ、深月めごは職員室まで後で来てくれ。」
え、私??
「…はい。」
全員の視線が私に向く。
これで、自己紹介をしなくても名前は覚えてもらえたよね。
「めごだけなんで呼び出されてんの???え、なんで???」
「…わかんないよ。行ってくる」
「教室で待っとくね!」
「ありがとう」
なんなんだろ…。
ガラガラガラ
「失礼します。」
「深月、こっちこっち」
クイクイっと手で呼んでくる。
「入学初日に呼び出して悪いな、あーっと、ここじゃなんだから応接室まで着いてきて。」
黙ってついていく。
庇護先生が応接室のドアの札を、 使用中に裏返す。
ガチャ
「入って」
黙って入る。
「どうぞ。」
椅子を引き机にはいちごミルクの飴玉を置かれた。
「…ありがとうございます。」
「大した理由じゃないんだけどさ、庇護 慎一郎ってわかる?」
「わかります。」
「慎一郎さー、俺の弟なんだよねー。」
ハハハ と笑いながら言う庇護先生。
…確かに笑顔、似てる。
「…えっと」
「急にごめんなー、慎一郎がうちの新入生の深月めごと付き合ってるって言ってたからさ、教師としてってゆうより兄として深月のこと気になってさー、」
「それ、職権乱用ですよね」
てゆーか、さっきまでの雰囲気とぜんぜん違う。
「雰囲気違うって思った?」
「はい」
「あれは、ここの生徒アホが多いから舐められないように。今は慎一郎の兄として深月のこと呼び出してるから素はこっち。なんか、弟の彼女の前でキャラ被ったまんまも笑えるじゃん?」
「笑えませんし、普通に教師でいてください。」
「だって彼女って事は、家にも来るじゃんかー、俺家でキャラ出すのふつーに嫌だし。あ、別に生活態度とかそんなん慎一郎には告げ口しないから安心して。」
「言われて困ることは無いので大丈夫です。」
「クールだねー。ハハハ」
そっくりなのは、笑顔だけだな。
「でも、慎一郎、深月みたいな子がタイプだったんだ、意外だなー、」
「そうですか。」
…ブラコンなのかな??
「あ、俺ブラコンじゃないよ。弟にまったく興味ないし。今までそうゆう気配全くなかったあいつの彼女が気になっただけなんだよねー。」
「先生は、そうゆう気配の方が多そうですね。」
「似てないでしょ慎一郎と。」
「はい。」
「以上弟の彼女チェックでした。もしさ、なんか慎一郎のことで相談したいことあったらいつでも来な。」
「はい。」
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