消恋

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学生の少女は、大きな恋をしていた。 同級生の彼に、大きな片想いをしていた。 彼以外を好きになるなんて有り得ない。いつか、この恋が叶えばいい。そう思っていた。 寝る間を惜しんで、彼のことを考えた。布団の中で、時には幸せに目を細め、時には苦しさに身を捩った。 恋は一喜一憂の塊だ。嬉しさのあまり放心状態になってしまうことも、悲しみのあまりきゅうぅ…と胸が締め付けられることも。すべてが詰まっている。 少女漫画のように恋は甘々なものではないし、だからといって酷く苦いものでもない。 少女が彼のことを想っていて、更に彼が少女のことを想っていたら。どれだけ素敵なことだろうか。 ふたりが愛で結ばれるだなんて、本当の奇跡にちがいない。叶わぬ恋は…きっと、意味がない。少女はそう思い込んでいた。 だが、恋というものは生半可な気持ちでやめられるものではない。叶わない恋でも、少しくらい勝手に想っていたっていいじゃないか。 ずるずると引きずるかのように、依存するかのように…少女は彼に、恋をしていた。
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