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学校へ着くと、もう既に今日のニュースの話題で持ちきりだった。同年代の人間が同日同時刻に同じ死に方、さらには身体の傷すらも同じところに付けられている。話題に上がらない訳がなかった。興味を示す者、恐怖におののく者、平静を装う者、犯人像を考察する者など様々だった。が、その後といえば、いつも通りにホームルームが始まり、誰もが予想した通りに担任が今日のニュースについて触れ、注意喚起し、いつも通り授業が始まりいつも通りに学校が終わった。特に普段の生活と何ら変わらず帰宅時間になる。
「みう!一緒に帰ろ!1人で帰ってると殺されるかもしれないから笑」
咲がケタケタと笑いながらみうに声をかける。どうやら咲の中では既に殺人と決まってしまったらしい。世間は冷たいものだ。同じ年齢の人間が謎の死を遂げたというのに、所詮は見ず知らずの他人、全力で感情移入する者などみうの周りでは皆無だった。縁もゆかりも無い人間だ。当然といえば当然なのかもしれない。みうも決して例外ではなかった。
ゆっくりとしたスピードで帰宅する2人の間を、爽やかな心地よい風が通り抜けていった。
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