雨男

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父とは本当にいろんな所にいった。 遊園地や公園、水族館に動物園。父に初めて連れていってもらった野球の試合も雨で中止になったっけ…父との思い出にはいつも雨がついて回る。 「陽太ー!あんまり走ると転ぶぞー!」 弘和は、遊園地に着いて早々に車から飛び出して駆けていった陽太に叫んだ。 いつも仕事で忙しくしてるから休みの日くらい陽太を遊びに連れていきたいと車を走らせてきたが… まさか途中で雨が降ってくるなんて… 「はぁ…」 弘和は車から傘を取り出しながら深いタメ息をつき、すでにチケット売場に並んでいる陽太を追いかけた。 「お父さん!なに乗る?僕ジェットコースターに乗りたい!」 弘和と園内に入った陽太は父に話しかけた。陽太は誰に似たのか怖いもの知らずで絶叫系の乗り物が大好きだった。一方、弘和はそういった乗り物が大の苦手。しかし、7歳の息子を独りで並ばせるわけにもいかない。 「今日は雨が降ってるからジェットコースターは閉まってるかもなぁ…」 息子の手前、ジェットコースターが怖いなんて言えるはずもなく、天気のせいにすれば陽太も諦めてくれるはず… そんなことを考えていたら先程まで降っていた雨が 突然弱まり、そして止んだ。 「ほら!お父さん!今なら乗れるよ!はやくはやくー!」 先程まで隣にいたはずの陽太が遠くから叫んでいる。ジェッタコースターの方向だ。こうなれば腹をくくるしかないか…弘和は覚悟を決めて陽太を追いかけた。
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