雨男

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「次はねー…お化け屋敷っ!」 ジェットコースターに3回も乗らされ、フラフラの弘和に、陽太は無邪気に話しかけた。 (げっ…ジャンルが違う怖いやつ…) しかもお化け屋敷は室内だ。もう天気のせいにも出来ない。 「こうなったら今日は精一杯、陽太に付き合うぞ」 弘和は独り言を呟くと、またもや先に進んでる陽太を小走りで追いかけた。 お化け屋敷に入った二人は身を寄せあって順路通りに進んでいた。陽太は先程とうって変わって大人しくなり、父の後ろに隠れるようにして歩いている。 「お父さぁん…先に行かないでよぉ…」 陽太は今にも泣き出しそうな声で父の背中にぴったり引っ付いている。 「怖いなら抱っこでもしようか??ほらほら!」 「やだー、恥ずかしいー!」 2人でこんなやり取りをしながら歩いているうちに出口の扉が見えてきた。かわいい息子の怖がる姿もこれで見納めかと思うと少し寂しい気分にすらなるなと考えながら弘和はお化け屋敷の扉を開く。 長い時間暗闇にいたため、外の光に2人は思わず目を(すが)めた。
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