0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
次の月には水族館。またその次の月は動物園。
毎月のように父と出掛けていたのを20年以上経った今でも覚えている。
雨が降っている日は、窓ガラスに映る景色を見つめて父に思いを馳せる。陽太が思い出に浸っている間も雨音が心地よいBGMになって鳴る。
優しく大きかった父の背中。
あまりにも父との別れは早かった。窓ガラスに映る景色と、自分の姿を見ながら「父さんに会いたい…」
ボソッと呟く陽太。
その時窓に映る陽太の横に、ひょこっと女の子が現れた。
「パパ~、今日も雨降りだね…お出掛けなのにね…」
(そういえば、娘の陽菜と出掛ける予定の日はいつも雨だな…)
「陽菜は雨が嫌い?」
「ううん、パパと出掛けられるから好き!」
そんな会話を陽菜としていると陽太はあることに気付いた。
ああ、そうか、雨男は父さんじゃなくて俺だったんだ。
「はっはっは!今日もパパのお陰で雨が降ったぞ~!」
最初のコメントを投稿しよう!