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 思ったより早かったなと感じたのは、前回午前中から日暮れ過ぎまで待たされ続けた記憶があるからだろう。  この日、鈴木さんが家から姿を現したのは、午後三時を回ったところだった。薄いうろこ雲がひっそりと浮かんだ空はまだ青色をしている。  似たような造りの賃貸住宅が並ぶ小路。吹いてくる風が冷たく感じるのは、冬が近付いてきているからかもしれないし、辺りに人の気配がまるで感じられないからかもしれない。どこかで鳴いている鳥の声も寂しげに聞こえている。  独身者向けの借家が多いのだろう。彼の住みかもその一つで、古くも新しくも、安くも高くもなさそうな縦長の四階建て。中はまだ見た事はないけど、建物の規模からしておそらく六畳程のワンルームかと思われる。  鈴木さんは洋服に頓着はないようで、いつも大手格安ブランドの服を着回している。そのパターンも片手で数える程に限られていて、今日もいつかに見た、くたびれたジャケットにジーンズ。  
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