蒸発したキャバ嬢

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 ナナは肌荒れと大人ニキビに悩んでいた。心がすさみ身がやつれる程に・・・キャバ嬢として指名を勝ち取れないからだ。北村はそんなナナを不憫に思っていつもナナを本指名してやった。  専らマイキープボトルとして持参した美肌効果のある甘酒をナナにサービスしてやりながらそれプラスハウスボトルオンリーでナナと夜のひと時を過ごしていた。  あまり酔えないのが難点だが、断然、安く済むから懐が決して温かくない北村にとってこれで良いのであってナナの肌が改善されるから一石二鳥なのだ。おまけに私の事を思ってくれるのはあなただけだわなんて嬉しいことをナナが言ってくれたりもする。  けれどもナナの肌がすっかり改善され綺麗になった日には彼女がナンバーワン売れっ子キャバ嬢になったお陰で北村は憂き目を見る破目になってしまった。つまりナナが引っ張りだこになってしまうから北村はナナを本指名も場内指名も出来なくなって、その内、ナナが羽振りの良い客に惹かれて行き、北村をプライベートでも相手にしなくなったのだ。  だからアンアン(キャバクラ店名)にはあまり足を運ばなくなった北村は、現金な世を憂う手前、ナナお前もか・・・と幻滅したものだが、どうしても彼女が気になるし諦めきれないので或る晩、アンアンに行ってみると、ナナは除籍となっていてもういなかった。ボーイによると、ナナと連絡が取れないので彼女が住んでいたマンションを訪ねたところ取り払った後だったとのことでナナは一週間位前に蒸発してしまったのだ。
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