ぼくときみの出会い

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「泣き止んだ」  竜が僕を見てにっこり笑った。  僕の涙は、竜の声を聞いていたらいつの間にか止まっていた。  …やだ、もう、かなわない。  僕は困って、少し笑った。 「…いいよ、無理しなくても。その約束はなかったことにしていいから。竜の好きにして」 「好きにしていいなら触ってもいい? 」 「へ? 」 「だって好きにしていいって」  竜が近付いてきて僕の髪にそっと触れた。 「…それはダメ、竜。僕は汚いから」 「汚くない。綺麗だ」 「知ってるだろ? 僕は…汚らわしい」  竜の手から逃れようとする僕の手を竜は掴んで引き寄せた。  悔しいけどもう力なんて全然かなわない。  抵抗しても、強く抱き締められて身動きがとれなかった。 「綺麗」  竜の優しい声が耳もとで響いた。 「…あ…っ」  だめだ、なんで…。  こんな時にまで欲情しちゃうなんて…ほんとに僕は汚れてる!  竜の手が、僕に触れている。  竜の体温が、僕に伝わってくる…。 「わっちょっと、何!? 」  突然僕の身体が宙に浮いたかと思うと、竜が僕を自分の部屋に連れて行ってベッドに下ろした。 「…我慢、しようと思ったのに」  …気付かれた…! 「オレじゃダメなのか」 「…ダメ、竜は…」  心泊数がどんどんあがってく。 「じゃあ他の奴だと思えよ」 「…ダメなの、竜しか…考えられない」 「え? 」  もう、ダメだ。  ごめんなさい、神様…  僕は解き放たれた様に、竜に腕を絡ませ、キスをした。  離れようとすると、今度は竜が僕を求めて、再び唇を重ねた。  竜の肉厚な唇を割って口の中に舌を入れた。  僕らは夢中で、昔よりももっと激しくキスを重ねた。 「一緒に寝てもいい? 何もしない」  貪るようにキスを交わした後、僕らは仰向けに寝転がった。 「いいよ。何もしないの? 僕は竜に触りたいんだけど」  僕は竜の上に馬乗りになって、Tシャツを捲り、竜の筋肉を指でなぞった。 「…うっ…何も、しなくない…」 「ダメ、しないって言ったよ? 」 「…うう」  僕の指が円を描いて、竜のぷくっととんがった胸の突起へと移動した。 「…リン、ダメ? 」 「だーめ」  僕の身体になんて触れちゃダメだよ。  とどめをさすように、僕は竜の胸の突起に舌を伸ばして触れた。 「…あっ…リン! 」  なんて色っぽい顔するんだ。僕まで我慢できなくなっちゃうじゃないか。 「ひどいな、リン」 「ひどいのは竜だよ。僕にこんなことさせて。せっかく避けていたのに…竜だって僕を避けてたじゃない」 「…他の男の匂いのするリンに耐えられなかった」 「僕は竜を忘れようとしたんだ。でもできなかった」 「なんで忘れる? 」 「だって…離れられなくなるのがわかってるから。竜に触れたら、僕はおかしくなっちゃいそうで」  竜が濃い睫毛に縁取られたまぶたの奥から、僕を見つめた。 「離れないって言った」 「そんなの…無理だよ」 「オレはリンより1秒でも長生きする」  そんなの、わかんないじゃないか。  そう思ったのに、竜はやけに自信を持ってそう言うから、本当にそうなるんじゃないかって、僕は思えた。 「…ほんっと、ばかだよね」 「ん」 「触って…」 「いい? 」  僕は竜の手を取って、僕の身体に触れさせ、頷いた。 「…でもね、竜、僕は君のものになんてならないよ」 「…ん。追い掛ける」 「期待なんて、できないんだ…」 「ん」  竜が、僕のシャツの裾から手を入れて、肌に直接触った。  どれだけ、何十回とこのことを想像した?  待ち望んだんだろう。  竜が僕に触れることを。 「綺麗…でもご飯、ちゃんと食べて」 「うん」  竜は僕の、痩せて浮き出た肋骨に触れた。  実際に触れる竜の手は、想像よりずっと…熱い。  腰に当たった竜のものも、すごく熱い。  僕はどれだけ竜が僕を求めているのか確かめたくて、体をずらし、竜のパンツと下着を下ろした。 「…ひどいな、竜。ここまで差つけられちゃった」 「何? 」 「竜に比べたら僕なんて…子供みたいじゃん」 「見せて」 「やだ」  僕は、今まで自分からしたことがなかったのに、はじめて人を求めた。  竜のかたく芯を持った昂りの根元に手を添えて、舌を這わせた。 「リンっ…だめ」 「やだ! 欲しいの! 」  頑として動かない僕に、観念して、竜は息を吐いた。  甘い吐息を、僕の動くリズムに合わせて。  突然、力強く掴まれて、体を起こされた。 「…見たい」  竜は今度は強引に、僕の服を全部剥ぎ取った。  僕を見下ろすその目にゆらりと光が揺れて、僕の心臓はどくどくと脈打った。  おかしくなっちゃいそう…竜にそんな目で見られたら。 「…はぁっん…」  そう思った時、今度は竜の口が、僕の昂りを覆った。  今までに感じたことがない、本物の快感。  部屋に二人の甘い吐息が充満するほど、僕らはお互い求めあった。  竜の硬い先が、僕の蕾まりにあてがわれて、身体をかたくする。 「ちょっと…待って、僕初めてなんだ…」  指くらいなら、慣れてるけど、実際セックスをしたことは今まで一度もない。 「オレも…恐い? 」 「…恐いよ、竜と、離れられなくなっちゃいそうで」 「離さない」  竜が僕を強く抱き締めて、少しずつ、僕の中に入ってきた。 「…っ」 「痛い? 」 「だいじょうぶ、離さないで…」 「ん」  指とは比べ物にならない圧迫感に、僕は我慢できず声が漏れた。  竜は優しく、僕をなだめるように髪を撫でて、キスをして、少しずつ奥まで侵入してくる。  僕らが触れあう部分はもう熱くて、溶けてしまいそうだ。  気持ちいいとか、正直わからなかったけど、ただ竜が僕の中にいるってことを考えると身体が熱くなった。 「あ…っ! 」 「ごめ…」  竜が動こうとすると、僕は痛みで思わず声をあげてしまい、心配そうに竜が僕を覗き込んだ。 「…大丈夫、竜の好きにしていいよ」  僕の言葉に、一瞬心配したせいか、すこし緩まった竜の昂りが再び硬く、芯を持った。 「…それ、やばい」  竜の瞳が、一瞬ぎらりと光った気がして、僕は更に欲情した。 「はやく…」 「…ん」  竜が、ゆっくりと律動を始め、僕は痛みに眉をひそめた。 「止めないで…」  竜は僕の眉間に優しくキスをすると、ゆっくりと、律動のスピードを速めていった。 「竜!…離さないで…っ」 「ん…」  僕達は、初めて交わりあい、ひとつになった。
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