15人が本棚に入れています
本棚に追加
「泣き止んだ」
竜が僕を見てにっこり笑った。
僕の涙は、竜の声を聞いていたらいつの間にか止まっていた。
…やだ、もう、かなわない。
僕は困って、少し笑った。
「…いいよ、無理しなくても。その約束はなかったことにしていいから。竜の好きにして」
「好きにしていいなら触ってもいい? 」
「へ? 」
「だって好きにしていいって」
竜が近付いてきて僕の髪にそっと触れた。
「…それはダメ、竜。僕は汚いから」
「汚くない。綺麗だ」
「知ってるだろ? 僕は…汚らわしい」
竜の手から逃れようとする僕の手を竜は掴んで引き寄せた。
悔しいけどもう力なんて全然かなわない。
抵抗しても、強く抱き締められて身動きがとれなかった。
「綺麗」
竜の優しい声が耳もとで響いた。
「…あ…っ」
だめだ、なんで…。
こんな時にまで欲情しちゃうなんて…ほんとに僕は汚れてる!
竜の手が、僕に触れている。
竜の体温が、僕に伝わってくる…。
「わっちょっと、何!? 」
突然僕の身体が宙に浮いたかと思うと、竜が僕を自分の部屋に連れて行ってベッドに下ろした。
「…我慢、しようと思ったのに」
…気付かれた…!
「オレじゃダメなのか」
「…ダメ、竜は…」
心泊数がどんどんあがってく。
「じゃあ他の奴だと思えよ」
「…ダメなの、竜しか…考えられない」
「え? 」
もう、ダメだ。
ごめんなさい、神様…
僕は解き放たれた様に、竜に腕を絡ませ、キスをした。
離れようとすると、今度は竜が僕を求めて、再び唇を重ねた。
竜の肉厚な唇を割って口の中に舌を入れた。
僕らは夢中で、昔よりももっと激しくキスを重ねた。
「一緒に寝てもいい? 何もしない」
貪るようにキスを交わした後、僕らは仰向けに寝転がった。
「いいよ。何もしないの? 僕は竜に触りたいんだけど」
僕は竜の上に馬乗りになって、Tシャツを捲り、竜の筋肉を指でなぞった。
「…うっ…何も、しなくない…」
「ダメ、しないって言ったよ? 」
「…うう」
僕の指が円を描いて、竜のぷくっととんがった胸の突起へと移動した。
「…リン、ダメ? 」
「だーめ」
僕の身体になんて触れちゃダメだよ。
とどめをさすように、僕は竜の胸の突起に舌を伸ばして触れた。
「…あっ…リン! 」
なんて色っぽい顔するんだ。僕まで我慢できなくなっちゃうじゃないか。
「ひどいな、リン」
「ひどいのは竜だよ。僕にこんなことさせて。せっかく避けていたのに…竜だって僕を避けてたじゃない」
「…他の男の匂いのするリンに耐えられなかった」
「僕は竜を忘れようとしたんだ。でもできなかった」
「なんで忘れる? 」
「だって…離れられなくなるのがわかってるから。竜に触れたら、僕はおかしくなっちゃいそうで」
竜が濃い睫毛に縁取られたまぶたの奥から、僕を見つめた。
「離れないって言った」
「そんなの…無理だよ」
「オレはリンより1秒でも長生きする」
そんなの、わかんないじゃないか。
そう思ったのに、竜はやけに自信を持ってそう言うから、本当にそうなるんじゃないかって、僕は思えた。
「…ほんっと、ばかだよね」
「ん」
「触って…」
「いい? 」
僕は竜の手を取って、僕の身体に触れさせ、頷いた。
「…でもね、竜、僕は君のものになんてならないよ」
「…ん。追い掛ける」
「期待なんて、できないんだ…」
「ん」
竜が、僕のシャツの裾から手を入れて、肌に直接触った。
どれだけ、何十回とこのことを想像した?
待ち望んだんだろう。
竜が僕に触れることを。
「綺麗…でもご飯、ちゃんと食べて」
「うん」
竜は僕の、痩せて浮き出た肋骨に触れた。
実際に触れる竜の手は、想像よりずっと…熱い。
腰に当たった竜のものも、すごく熱い。
僕はどれだけ竜が僕を求めているのか確かめたくて、体をずらし、竜のパンツと下着を下ろした。
「…ひどいな、竜。ここまで差つけられちゃった」
「何? 」
「竜に比べたら僕なんて…子供みたいじゃん」
「見せて」
「やだ」
僕は、今まで自分からしたことがなかったのに、はじめて人を求めた。
竜のかたく芯を持った昂りの根元に手を添えて、舌を這わせた。
「リンっ…だめ」
「やだ! 欲しいの! 」
頑として動かない僕に、観念して、竜は息を吐いた。
甘い吐息を、僕の動くリズムに合わせて。
突然、力強く掴まれて、体を起こされた。
「…見たい」
竜は今度は強引に、僕の服を全部剥ぎ取った。
僕を見下ろすその目にゆらりと光が揺れて、僕の心臓はどくどくと脈打った。
おかしくなっちゃいそう…竜にそんな目で見られたら。
「…はぁっん…」
そう思った時、今度は竜の口が、僕の昂りを覆った。
今までに感じたことがない、本物の快感。
部屋に二人の甘い吐息が充満するほど、僕らはお互い求めあった。
竜の硬い先が、僕の蕾まりにあてがわれて、身体をかたくする。
「ちょっと…待って、僕初めてなんだ…」
指くらいなら、慣れてるけど、実際セックスをしたことは今まで一度もない。
「オレも…恐い? 」
「…恐いよ、竜と、離れられなくなっちゃいそうで」
「離さない」
竜が僕を強く抱き締めて、少しずつ、僕の中に入ってきた。
「…っ」
「痛い? 」
「だいじょうぶ、離さないで…」
「ん」
指とは比べ物にならない圧迫感に、僕は我慢できず声が漏れた。
竜は優しく、僕をなだめるように髪を撫でて、キスをして、少しずつ奥まで侵入してくる。
僕らが触れあう部分はもう熱くて、溶けてしまいそうだ。
気持ちいいとか、正直わからなかったけど、ただ竜が僕の中にいるってことを考えると身体が熱くなった。
「あ…っ! 」
「ごめ…」
竜が動こうとすると、僕は痛みで思わず声をあげてしまい、心配そうに竜が僕を覗き込んだ。
「…大丈夫、竜の好きにしていいよ」
僕の言葉に、一瞬心配したせいか、すこし緩まった竜の昂りが再び硬く、芯を持った。
「…それ、やばい」
竜の瞳が、一瞬ぎらりと光った気がして、僕は更に欲情した。
「はやく…」
「…ん」
竜が、ゆっくりと律動を始め、僕は痛みに眉をひそめた。
「止めないで…」
竜は僕の眉間に優しくキスをすると、ゆっくりと、律動のスピードを速めていった。
「竜!…離さないで…っ」
「ん…」
僕達は、初めて交わりあい、ひとつになった。
最初のコメントを投稿しよう!