この世に、二人だけ

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 しかし、転機は思わぬところから訪れた。優子の高校の同級生だった、今は刑事をしている誠が、行方不明になった彼女を探していたのだ。それも、本来自分の担当ではない事件だったのを、ほぼ独力で探してくれていたらしい。誠は、高校の時から優子のことが好きだったのだ。優子の方は、誠がもうひとつ好みのタイプというわけではなかったので、付き合うには至らなかったが……。  そして、誠は遂に執念で優子の居場所を突き止め。あの男の留守中、単身山荘に忍び込み。優子の変わり果てた姿を見て、驚愕し、泣き叫び、怒りに振るえ。戻ってきた男を、その手で殺したのだった……!  ようやく男から解放された優子だったが、優子の願いは変わらなかった。「自分を殺して欲しい」。この体で今更、元の生活に戻れるわけがない。それならいっそ……! だが、誠はそれをしなかった。その代わりに、ある提案を優子に持ちかけた。それが、この「ゲーム」だった……。  誠がネット上の怪しげな掲示板に、書き込みを入れる。「手足を切り取られ、なんでも自分の思うように出来る女がいるらしい。」そしてそれに食いついてきた男に、密かに連絡を取り、この山荘へ連れてくる。  そいつが優子の「ありのままの姿」を見て、本当だったのか、マジで? と驚く隙に、誠がそいつを殴りつけ。気を失っている間に、足を鎖で縛り付ける。……意識を取り戻し、自分が捕らわれの身になったとわかったそいつに、誠が「条件」を出す。ここから出して欲しかったら、これから毎日、あの女に仕えるんだ。そして、彼女を「満足させる」んだ!
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