-裏-

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「晴ちゃん、お疲れさま」 「後のことは任せるといい」  優しい声はストーカーとか強姦魔とか思えないけど、体の痛みと怠さは二人が私に強いた行為の確かな名残。奥からは誰のものともわからないドロドロが出てきて気持ち悪いけど、どうすることもできない。  二人分のセックスは私には重労働で、泥の底から呼び込んでくるような睡魔に身を委ねることにした。だって、今は本当に何もできそうにない。  明日になれば全てが夢になっているかもしれないし、もっと恐ろしいことになってるのかもしれえない。だけど、二人は一瞬でも幸せな夢を見せてくれたから。私を認めてくれたから。私を否定しないから。  だから、私は二人を許してしまったのかもしれない。たとえば、これがこの部屋と日常との最後の別れだとしても。
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