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 金曜の夜、誰かと飲みに行くわけでもなく、フラフラで帰宅した私は家の異変に気付かなかった。  電気がついてるのも朝消し忘れちゃったのかなって思ったぐらい。正直、朝から相当バタバタしてたからありえなくもない。  いつものように鍵を開けて、半ば朦朧としてた意識が急にクリアになる。家の中から漂ってくる良い匂い、凄く食欲をそそられる。もしかして、お母さんがサプライズで来てるのかなって思ってありえないことに気付く。  どうしよう? どういうこと? 完全にパニック状態になったところで誰かが出てきた。 「おかえり、(はる)ちゃん。ご飯にする? お風呂にする? それとも、俺?」 「ひぇっ……!」  私は腰を抜かして、その場にへたり込んだ。  だって、そこにいたのはとんでもないイケメンだった。年下かな? 派手な金髪をポンパドールにしたキラッキラなイケメンがカフェエプロンをして、笑顔でそこに立ってる。  うちはいつからイケメンカフェになったんだっけ?  そんなことを考えちゃうくらいわけがわからない状況。遂に疲れすぎて幻覚を見るようになった?  遠野(とおの)晴花(はるか)だから、晴ちゃん。うん、悪くない。凄くいい。疲れて帰ってきたOLを料理で癒してくれる年下の彼氏感凄い。二十四年生きてて彼氏なんてできたことないけど、これって理想的では?  いやいや、絶対おかしいよね? 彼氏もいないのに家に知らない男がいるって不審者だよね? どうしよう、警察? パニックでどうしたらいいかわからなくなったところでドアが開いた。
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