Quatre

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「まあ白亜はそれでいいとしてー……じゃあ琥珀のことはー? 何で好きなのか、説明なんてできるー?」 「……琥珀は……琥珀だもん……最初から……初めて見た時から、ここが、ほわほわしたもん……」  フリフリから離した手を胸の上に重ねて、茜はまたうつむいた。涙を予感させない頬はほんのり赤くて、でもやっぱりまだ少し暗い。 「つまり一目惚れってことー?」 「わかんない……」 「わかんないけど琥珀のお姫さまになりたいんでしょ? 僕が蜂蜜好きなのだってそれと一緒だよー……何で好きなのかって、そんなの“好きだから好き”としか言えないじゃーん」  エメラルドグリーンのカップを覗いたら、いい色に染まってた。葉と花に浸りすぎた濃い青は、似てる。藍色に。  (すす)ると絶妙な温度が胸に届いて、濃度の高い青が僕に溜まっていく。体中が温かく痺れていって、独り占めしていたくなる。  好きなものにわざわざ理由をくっつけるのって意味わかんない。そんなの“好きだから”以外にないのに。わざわざ確かめなきゃ“好き”の気持ちがわからない人って可哀想。  蜂蜜が好きなのも、癖のない青が好きなのも、独り占めしたい気持ちも、“いつから”とか“何で”とか訊かれても、そんなの僕だってわからない。
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