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私は急な展開に頭の整理をしつつ、早く帰るためにバックオフィスで事務処理をしていた。
「ヤメ…テ……ニゲテ…」
どこからか声が聞こえた。
気のせいかと思ったが、その声は確かに聞こえてくる。
声がする方向をそっと振り返ると、あのマネキンがいた。
マネキンが話すわけはない。でも声はマネキンから聞こえてくる。
「…ハヤク…ニゲ…テ………」
マネキンはこちらを見ながらそう言っているように見えた。
いや、見えたのではなかった。
「…ハヤク…ニゲテ………」
マネキンはカタカタと揺れて倒れた。
パリーン。
マネキンの顔にひびが入った。
ひびの中の何か動いた。
その中には、彼女が居た。
電話が鳴った。
「おまたせいたしました、そろそろ行きましょうか。」
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