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目を開けると、そこには古びた天井があった。
──ダメだ。寝れない。
霧島 優太は全身から空気を抜くように、「はぁーーーー」と長いため息を漏らした。
仕事を辞めてから一ヶ月。
仕事をしておらず、その上コンビニに行く時以外この部屋から出ないからか、優太の身体は全く疲れていなかった。寧ろ、体力が有り余っていて仕方がない。
時計が時を刻む音が嫌に耳に障る。
布団を頭から被って何とか気にしないようにしてみても、気にしないようにすればするほど、音は優太を嘲笑うかのように大きくなっていくような気がした。
優太は仕方なく起き上がり、ベッドから降りた。
そして、ゴチャゴチャと落ちているゲームソフトや漫画を避けながら壁掛け式時計の元まで行き、時計を外して裏の電池を抜いた。
音がピタリと止む。
「まったく……」
優太が役割をなくした時計を適当に放ると、ちょうどそこにあったビール缶に当たって、ビール缶がカランッと音を立てて倒れた。
中に少しだけ残っていたビールが床を汚す。
そのまま放っておけば臭いが凄いことになるのは分かっているけれど、優太はそれを拭く気にもなれなかった。
もう、すべての事が面倒くさかった。
優太は台所に向かい、冷蔵庫を開けた。
猛烈に、酒を呑みたくなったからだ。
しかし、冷蔵庫には酒が一本も入っていなかった。
──散々だ。
優太は冷蔵庫の前に座り込んだ。
ないと分かると、余計に呑みたくなるのが人の性。
──酒を、呑みたい。
不思議だった。
今までも勿論、酒が好きでよく呑んでいたけれど、ここまで呑みたいと思うのは初めてだった。
その思いは、布団に戻ってからも変わらなかった。
酒を呑みたくて、呑みたくて、ウズウズする。
──仕方ないな。
優太はまたベッドから出て、コートを羽織った。
こういうときは、さっさとコンビニに酒を買いに行って呑んで寝るのが一番だ。
鍵とスマホと財布をスウェットのポケットに突っ込み、サンダルを足に引っ掛けて、優太は外に出た。
寒くて、身体が縮こまる。
優太は寒さを凌ぐためと、酒を早く手に入れたい一心でコンビニまでの道程を早足で歩いた。
コンビニは、優太の家から徒歩十分程のところにある。
最近はコンビニと家の往復しかしていない優太の足は何も考えなくても、コンビニの方へと進んでいってくれる。
……はずだった。
「……あれ?」
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