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「宵闇さん、曲作って歌詞書いてアレンジしてベース弾いてシンセ作ってプロデュースしてディレクションしてだから…」  綺悧は宵闇をじっと見つめ、手を合わせる。おいおい、仏像じゃねぇぞ。 「お世話になってます」  見ると、ひそっと礼華も手を合わせてる。何だこの宗教は。  でも、何かお客さんにはウケてるみたいだから、いいか。 「はい、じゃ、そろそろね、次行きましょうか!」  礼拝を終えた綺悧は、フロアに向かって明るくそう宣言する。 「あ、待って。ちょい待って」  朱雨が焦った様子でストップをかける。既に気持ちが次の曲に行ってた俺はつんのめる。 「なに、朱雨くん」 「チューニングが合わねー」 「ちょっとー!」  朱雨は何やらぶつぶつ言いながら、頻りに首を傾げて、ペグをちまちま回してる。おいおい、マジかよ。何やってんだよ。 「はーやくー!」 「今話しかけんなて」  そんだけやって合わねぇんなら、どっか部品がトラブってんな。スティックを回しながら、朱雨の様子を眺める。 「しょうがないなぁ。もうちょっと喋ろっか?」  お客さんは、それでも歓迎してくれる。悪ぃな。曲も聞きたいよな。
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