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「えーっと、テイク、ワン、ネクストってことで…次にこれが来るな!って思ってるもの、はい、礼華くん!」 「えっ? 俺?」  礼華は驚いた様子で綺悧と客席をきょろきょろと見る。 「相方のトラブルだから、礼華くんよろしく!」 「えーっ…そう、だなぁ…」  しどろもどろになりながら、腕を組んで空を見つめながら必死に考えている。アドリブ効くのか? 「…流行るかわからないけど…美味しかったから試して欲しいなって」 「お待たせしやした!」  突然割り込んだ朱雨の声に振り向くと、かけてたギターが赤からシルバーに変わってる。ギターごと取り替えたか。正解。その為のサブ機だ。  ギターテクニシャン任せにしねぇで、ちゃんと後からどこの不具合か自分で確認しろな。 「あれ、朱雨くんいたんだ」  綺悧がすっとぼけると、朱雨は一歩前に出てかみつく。 「おったわ! そんでめちゃくちゃ焦っとったがね!」 「あー、そう。じゃ、次行く?」 「あ…えっと」  礼華は礼華で、無理やり振られた話をぶった切られて困惑してるし。面白ぇなぁ。俺、ベルノのライブのこういうとこが好きなんだよ。こいつらのステージングが凄まじいってのが前提な。
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