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「礼華くん、そのネタ取っといて。今度朱雨くんトラブったら使うから」
「あ、うん」
可哀想に、って思いながら、俺はゲラゲラ笑ってるけど。礼華のネタ何だったんだろな。
「はーい! 皆さんお待たせしました! テンション下がってないー!?」
皆、思いっ切り腕を上げて、いい声で応えてくれる。そう来ねぇと。ぶつかり甲斐があるぜ。
「さあ」
不意に、低く押し殺した声で綺悧がマイクに囁きかける。
「悪夢の中で遊びましょう」
クリック4つ。フランジャーで極限までうねらせたギターが、両サイドから頭がぐらんぐらんになるくらいに揺さぶってくる。すっげぇ気持ち悪ぃ。
その底辺を、重たいベースが死にかけの心臓の音みたいにゆっくりと流れて行く。
そこへ、俺の細かいフィルが加速をつけて、目の前のマーブル模様を蹴り破る。
Risk。シングルに収録したバージョンから、更にリアレンジした。いじりがいのいる曲だ。
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