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レコーディングの時、俺が面白がって8小節毎にフレーズを変えてやった。最初のデモも、確かに悪い夢みたいな、いい意味で嫌な空気の曲だったけど、そこまでだった。それを俺がこんなふうに遊んだもんだから、8小節ごとに朱雨のギターも宵闇のベースもリフが徐々に変化して、メロディラインすらも同じものがない。その中で、ずっと同じことを繰り返す、不安そうな礼華のギター。とんでもなく気持ち悪い曲になった。
仕上がりはすげぇ面白いもんになった。こんなことやるバンド、なかなかいねぇと思う。覚えんのも面倒だし、誰かがミスったら明らかにわかる。
ほんとなら、ベルノワールがやるようなレベルじゃない。でもま、やっちまったんだし、やれるんだから結果オーライ。ライブで再現すんのは不可能だと思ってたけど、こいつらその予想を裏切りやがった。
よその同クラスのバンドは腰抜かしてんじゃねぇかな。
酔いそうなほど精神を揺さぶったRiskに続いて、ベースが古時計が時を告げるように鳴り、フロアの目を覚まさせる。
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