悪魔と媚薬

3/34
17436人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
 井筒先輩は、小柄な体の割に豊満な胸を強調するように突き出し、ニヤッと笑う。 「……本社に来てもいつまでも垢抜けないわね」 「余計なお世話ですよ!」  むかっとして思わず反論。いつもならそこで機嫌が悪くなる井筒お嬢様だが、さすがに今日は、自分が無茶を言っている自覚はあるらしい。 「ね、お願い。彼氏を作るチャンスじゃない。しかも相手は文句なしのハイスペック」 「近づきたいなんて思ったことありませんってば。ほんと、ちょっと考え直して」 「だめよ。社長とお近づきになるためには、どうしてもあの男が邪魔なのよ」  そうだ、頭に来て忘れかけていたが、井筒先輩の言う『あの男』がこのバーの中にいる。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!