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「兄貴、とどめは……」
と、かすれ声が言うと、耳元で小さな風が吹いたほどの音のない音。鯉口を切る音――刀を鞘から抜いたときの音だ。恐らく普通の者には聞こえない、忍びだからこそ聞こえる音。
――刀を持っているのか。
「いや、それより金目の物はねえのか」
と、低い声が言った。着物の袖を探られたあと、荒々しく胸元が開かれた。
「おや、胸元までさらしとは……。もしや、女子か」
掠れ声の中に怪しい笑みを感じた。
「おい、先に行くぞ」
と低い男の声。雪を踏みしめる音が遠ざかる。
さらしは現在の下着の機能を兼ねていた。男の固く大きな手で、さらしが引き下ろされた。押さえつけられていた胸の膨らみが搾り出されるようにさらしから溢れるのが分かった。脇の方に水袋のような自分の胸の重みを感じた。
――うっ……。
固い手のひらに胸の膨らみが包まれ、指先がその柔らかさを楽しむように這いずり回る。
「……若えな。まだ十七、八というところか。惜しいなあ。モッチリした柔肌で、いい身体じゃねえか。まだ、温もりもあるし……」
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