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★異世界魔女と出会う子孫★
時はお昼頃、突然衝撃音と共に一人の少年が森に現れた。
少年は十八歳ぐらいで、ワイシャツに黒いズボンと学校に行くような服装だった。
髪型は少しワックスで整えたようなツンツンしたショートヘアーで、色は暗めの茶髪だった。
少年は顔を左右に降って辺りを見渡した。
そしていくつかの疑問が浮かんだ。
……どこだ?
何かまわりに巨大なキノコが生えているし、空はオーロラがかかったような色をしている。
「まじでどこだよ」
少年は俯き、この現実をちょっとでも受け入れようと努力をし始めた。しかしそんな時、突然風が『ビュー』と吹いたかと思うと、白いワイシャツを着た長髪一本縛りをした少女が紅いスカートをなびかせながら立っていた。
少女の耳は長く、その上紅い瞳だったのでとても人間のような感じではなかった。
そして少女はその場にしゃがみ、下からのぞき込むような感じで少年を見ながら話しかけた。
「お~い、大丈夫か~い。君は誰だい?」
この時少女は前に来た少年と同じように混乱しているのではないかという心配で尋ねた。
しかし集中して考えたい少年にとってはただうるさいと思っていたため不服そうな顔をして少女に返答をした。
「うぅ…なんだぁ? お前誰だ?」
まったく、人が考え事しているのにいきなり話しかけるなよなぁ。
心の中まで不服だと言わんばかりの態度を示した少年、それに対していきなり不機嫌そうにされた少女は少し機嫌が悪くなった。
なんだいなんだい! いきなり怒らなくたっていいじゃないか!こっちは心配だったから訊いただけなのに!
ふんっ! なら私だってそういう態度をとってやる!
少女はすごく不愉快そうな顔をしながらこういい放った!
「質問を質問で返すな! 常識だろ?」
「……………。」
常識的なことを言われた少年は何も言い返せないのか黙ってしまった。
ちっ、常識的な発言だ……何も言い返せない。しょうがないから俺のこの状況を話すか。
少年はしぶしぶ質問に答え始めた。
「わかった。俺はカズヤ、森を歩いていたら急に周りが暗くなってきて気づいたらここにいたんだ」
「ふ~ん、そうかい」
少年ことカズヤはせっかく話してやったのに少女の反応が薄かったので少々面白くなかった。
だけど少女は決してどうでもいいとは思っていなかった。
むしろ疑問と好奇心を抱いていた。
何だか境遇がレン君に似ている。こんな偶然ってあるんだね。
もっと質問してみたいなぁ♪
「じゃあ次の質問……。」
「おぉと待った、俺の質問に答えろよ! お前は誰だ?」
このまま俺を無視して質問攻めなんてことさせるかよ!
少女お得意の質問タイムをカズヤに潰された女の子は『むぅううう』と少し唸ったが、気分を切り替えたのか福与かな胸を張って更にその胸に手を当てて得意げそうなポーズを構えて名前を名乗った。
ちなみにこの時カズヤは少女の動作に『ドキッ』としていた。
「私は大魔導師エルマだ!」
フフン、どうだ! 驚きのあまり声が出ないのかポカーンとした顔になっているぞ♪
確かにカズヤは少女ことエルマの自己紹介を聞いた瞬間、ポカーンという顔をしてはいたが、エルマの予想とは違う思いでいた。
この女は頭がおかしいのか?
エルフっぽいコスプレをした挙句に魔法使いの設定付きとはマジでヤバいやつかもしれない。
忠告を込めて言ってやるか。
「何言ってんだお前、そういう中二病発言は控えたほうがいいぞ」
カズヤは決してバカにしているつもりはない、本当にヤバイから忠告をしてやるという親切心でエルマに発言した。
だがエルマにとってはすごく屈辱的だった。
何故ならエルマは正真正銘本当の魔女なのだ!
「中二病じゃないわ! 本物の大魔導師だ!」
まったく、異世界人は何でみんな中二病なんて言うんだよ!
でも何だか懐かしい……この会話の流れもレン君の時と同じだ。
しかし疑われたままなのは少々しゃくね。
とは言え私から証明してやると言ったところで
『いーよいーよ、大魔導師何だね(笑)』ってバカにされるに決まってる!
さぁ、どう証明するか。
エルマがどう証明するか悩み始めていると、丁度カズヤの方から証明の要望が来た。
「本当かぁ~? ならば証明として魔法を唱えてみろよ?」
「………………。」
よぉおおし! まさか向こうから証明を求めてくるとは、これは好都合!
「いいよ、見せてあげるよ」
魔法を唱えて証明してみろ……か、面白いっ!
ならば初めてレン君と出会った時に唱えたこの魔法で!
「対象を破壊し燃やし尽くせ! インフェルノバスター!」
エルマが魔法を唱えると、手から紅い炎が出始めてそれが一直線に飛んでいきカズヤのすぐ横を通り抜けた!
そしてそのまま大木にぶち当たり消し飛ばした!
「………まじかよ」
カズヤはめちゃくちゃ驚いた顔をして呆然としていた。
それに対してエルマは最大の得意気なドヤ顔をきめていた 。
「フフン♪ どうだぁ♪ 私の魔法は♪」
「………………。」
炎を手から出したぞ! まじで大魔導士なのか?だが今見たことはまぎれもない真実……かぁ。
「………どうやら信じるしかないなぁ」
「フフフ、これで私が大魔導師であることは証明出来たし、今度は私の質問の番だ」
エルマは次の質問を言う前に近くにある切り株に腰を掛けた。
そんな様子を見ながらカズヤは『やれやれ』という感じな顔をして返事を返した。
「はぁ……わかったよ、何を訊きたいんだ?」
まったく、今度はどんな質問をする気なんだ?
「君の身内にレンという名前の人物はいるかい?」
ん? ここで突然俺の身内のことについて訊いてきたぞ。いったい何なんだ?
「………………。」
もしかしたらこの子はレン君の血族の子かもしれない。生い立ちや言動、行動がそっくりだ。
だから私はこの質問をした。そうするのが確かめる方法で一番手っ取り早いからね。
さぁ、どうだ!
「レン? あぁ、それなら俺の爺さんがそんな名前だったなぁ」
ビンゴっ! やっぱりこの子はレン君の血族の子だったんだ♪
あぁ、ならばレン君は今どうしているのだろう?
「まぁ爺さんと言っても一度も会ったことがないがな」
えぇええええええ! 会ったことがないって!まさかレン君………。
「えっ? それってレン君はもう死んでるの?」
うぅ、どうなのどうなの!?
「いや、生きているらしいが会ったことがないだけだ」
「そうか……。」
ほっ……。レン君、生きてたんだね………よかったぁ。
エルマは心底安心したのか胸に片手を当ててほっとしたというようなポーズをとっていた。
その姿を見たカズヤは少し不思議そうな顔をしてから口を開き始めた。
「なぁ、今度は俺から質問をさせてもらうがいいか?」
「どうぞ?」
さてと、どんな質問が来るかな?
「お前は俺の爺さんのことを何で知っているんだ?」
このエルマってやつ、やけに爺さんのことを訊きたがる。
きっと何かあるんだ。
カズヤの質問に対してエルマは妥当な質問だと思った。
だが彼女は少し不満な顔をしていた。
「私の名前を教えたのにお前って……レン君より少し性格がきついのかな?」
まったく、なんて生意気な奴なんだ!
私の名前を知らなかった時はしょうがないと思っていたけど、教えてやったのにまだ言うか!
エルマはじぃ~っとカズヤを見て不満な顔をしていたが、カズヤが『何か言ったか?』と言ってきたので『フンっ!』というような感じでそっぽを向きこう言った。
「べつにぃ。それより質問の回答だが、ここで話すのもなんだから私の家の中で話そう」
フフフ、家の中に入れてしまえばこっちのもんよ♪
レン君の時と同様で料理を振る舞い、そして私の偉大さを見せつけてやる!
エルマの表情は段々自信満々な顔になっていき、『ドヤっ!』という顔になった。
だがこの表情はまた不満な顔に戻ってしまう、何故なら……。
「家って、この汚いボロ小屋か?」
「張り倒すぞ! これは私の立派な家だ!」
まったく、レン君と言いこいつと言い、私の家をボロ小屋扱いして!
でもまぁいいや、私は寛大だから許してあげる。
「……………。」
おいおいマジかよ……このボロ小屋が……………。
「これが家か……あまり入りたくねぇな」
「いいから入れ! 話をしてあげるから!」
そんなに嫌そうな顔をしなくたっていいじゃないか!
はぁ、どうしてこんな奴がレン君の……あぁ、納得した。
エルマはカズヤの背中を押しながら家の中に放り込んだ。
そしてレンとの思い出を語り始めた。
「うわっ! 外と比例するように中も汚ねぇ!」
「なにっ!? 女の子の部屋に向かってなんて言い方するんだ!」
「俺は素直な感想を言っただけだ、何が悪い?」
「なにをぉおおおお!」
うぅうう、そんなに汚い汚い言うことないのにぃ~
そろそろ泣きそうになってきた、ぐすん。
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