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「だ、だれだ!?」
勢いよく振り向いた俺の目に飛び込んできたのは、狐のような耳と尻尾を生やした人だった。
…この場合が人に当てはまるのかはともかく、耳と尻尾以外は本当に人間のようだ。
ぽかんと口を開けている俺を見て、その人はクスクスと鈴が転がるような声で笑った。
「…我に願いがあるのは、お主かえ?」
「……へ…ぁ、あ、えっと…まあ…」
「ほぅ……近頃、この結界内に人間が出入りしているとは聞いておったが………どうやらそれもお主のようじゃな」
「うっ……だと、思います…」
そんな事まで筒抜けなのか。
…そりゃそうか。この神社はきっとこういう人達の陣地のようなものなんだろう。
ただの人間の俺にはよくわからないけど。
「ーーそれで、お主の願いとは?」
「あっ……え、と……お、俺…好きな奴がいるんです、けど…」
俺が俯きがちに答えるとその人は「なるほど…?」と何やら意味深に呟いた。
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