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「春彦」
そう名前を呼ばれて俺は振り返る。
振り返った先に見えたのは、まるで絵本に出てくるような王子様のような見た目の幼馴染だった。
幼馴染はここまで走ってきたのか息を整えながら俺の隣に並んだ。
「よかった。先に帰ったなんて言われたから俺走ってきちゃったよ…一緒に帰ろうって言ったのに」
「別に、約束なんかしてねーだろ。…後ろできゃっきゃっ言ってる女子とでも帰れば?」
「もー俺は春彦と帰りたいの!そんな意地悪言わないでよ」
「………」
ああ、かわいくない態度をまたとってしまった。
まあ別にこの幼馴染は気にもしないのだろうけど。
この幼馴染との付き合いは生まれる前から。
母親同士が親友で、必然的に俺たちも仲良くなった。
…ただ、俺の好きが幼馴染としての好きを超えてしまった訳だけど。
この恋を伝える訳にもいかず、早く俺から離れてくんねーかななんて思ったり。
今日も、雨は降り続けている。
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