4

1/1
前へ
/23ページ
次へ

4

もしあれが嘘だったのならば俺はもうあいつの側にはいられない。 ーー晃の側には。 あいつを好きだと自覚したのはいつ頃だっただろうか。 ……多分、こんな風に土砂降りの日だったはず。 持ってきていた傘を盗まれて、途方に暮れていた俺を傘にいれてくれた。 少女漫画みたいだななんて思っていたけど、本当に少女漫画のように恋をするなんて思いもしなかった。 ふとあいつの方を見た時肩が濡れているのを見て「お前の傘なんだから、自分が濡れるなよ」と言ったらあいつは笑いながら言ったんだ。 「春彦が風邪引いて辛そうににしてる所見たくないんだ」 と。 …でもあれはこの恋に気づくきっかけに過ぎなかったんだろう。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加