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「春彦ってば、なんで俺のこと避けるのさ」 「…避けてない」 「避けてるよ!…俺、なんかした?」 「…別に?お前の気のせいだろ」 嘘だ。 俺はここ最近晃を避けている。 …神社に行って願い事をするまでは、晃と一緒にいたくなくて。 うっかり、口を滑らせてしまいそうで怖くなったんだ。 でも、でも…そんなことは許されない。 晃は将来綺麗な女性と結婚して、子供も産まれて……幸せな家庭を築くんだ。 それで晃の結婚式の友人スピーチを俺がして……。 なのにもし俺が口を滑らして、この隣から落ちてしまったら…俺に何が残る? 何も残らない。 なら、最初からなかったことにしようと、そう思った。
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