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湖面にきらきらと日の光が差し込み木々が煌めきます。雨はやんで、青池はどこまでも透明に清み冷たく満ちていました。
若く美しい白い蛇神様がすいっと青池を渡りました。澄んだ青い瞳の蛇神様でした。渡った先の畔に白龍様がひらりと佇みます。
青池は美しい池ね。私はこちらで暮らしたいのです。湯は苦手です。私のために青池は冷たく清んでいるのね。青池の青は私の力になるわ。この瞳に力を溜めましょう。青池の青は私のためだけに。
青池の水はずっと透明なまま、みなとわかちあいましょう。
白龍様が湖面に頭を垂れ、その頭にするりと白蛇様が乗りました。きらきらひかる水飛沫と白く美しい二神様に青池はまた泣いてしまいました。
それから長い年月が流れました。
青池は白い池とよばれ、白龍様と白蛇様はいつのまにか一柱の真白様と成りました。村の名前が無くなり、人々は増えそして緩やかに減っていきましたが真白様は信心厚く祀られております。
青池では白蛇様と白龍様が中睦まじく過ごしております。白龍様は自分ばかりが後世に名が残ったことをお嘆きになりますが白蛇様はぺちりとその頬を軽く尾で叩き微笑みます。清んだ美しい水を湛えた青池はもう寂しくありませんでした。
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